2008年 05月 03日
声帯結節 新論
声帯結節 新論
耳鼻咽喉科で「声帯結節」と診断され、音声訓練をはじめ毎回ステロイドで対処したり何度も手術したりしてきたけれど、結局、完治しない難治の患者様が會田ボイス整骨院に大勢通ってきます。
過去の100症例をピックアップして再検証し、喉頭周辺筋の特徴から、独自の新しい論理を元に、その様子や改善法の概略をお伝えします。
なお、この新論は医学的に実証されたものでないことをお断り申し上げます。
最初に、声帯結節の症状・病因・一般的治療法は、他の優秀なホームページで十分ご理解ください。(声帯結節で検索すればたくさん出てきます)
皆さんに質問です。
なぜ声帯結節になるのでしょうか?
じっくり考えてみてください。
声帯に炎症性の腫瘤ができるのですが、よく「手のひらの肉刺(まめ:皮膚が他の物とこすれてできる水ぶくれ)」とか「ペン胼胝(たこ:繰り返し圧力を受けた皮膚が角質化して厚くなること)」に例えられています。
ここで、こすれたり圧力を受けたりすることに注目してください。
手足の皮膚でなく、声帯では何がこすれたり圧力を受けたりするのでしょう。
それは声帯の粘膜自身なのです。
声帯は二枚のヒダで成り立っており、それが閉鎖したところに呼気が通過すると、振動して音が生じます。
完全に強く閉鎖してしまうと、声が詰まったり出し難くなったりします。
また、閉鎖不全を起こすと、息が漏れて声がかすれます。
両声帯の粘膜間は極小さく開いています。
しかし、声帯のある一点が常に反対側の声帯に当たるようになると声帯結節ができます。
その場所は、声帯靭帯や声帯突起の関係上、前1/3の地点が多いと聞きます。
肉刺や胼胝ができるまでには、繰り返しの大きな力が必要ですよね。
きっと声帯に結節ができるのも、いつも同じ部分が強くぶつかり合っていることが予想できます。
例えば、音階ラ音の周波数は440Hzで、1秒間に440回の振動を意味します。(単調な振動だけでないため回数の誤差は大きくありますが・・・)
つまり、ラ音を発声すれば、1秒間に440回も声帯同士がぶつかり合うことにほかなりません。
1分で26400回、1時間で1584000回です!
ラ音より低ければ周波数は減り、高ければ増えます。
このことからヒトは一日を通して莫大な数値の声帯振動を強いているのです。
知らぬ間に苛酷な環境で声帯がぶつかり合っているとしたら、なんだか胸を痛めてしまいますね。
次に、喉頭ファイバーで声帯結節の患者様の喉を診ますと、ほぼ全員が力を込めて声帯を閉じようとしているのに気付きます。
披裂部や仮声帯もグッと中央に寄ってきます。
そのとき、喉頭周辺筋を丁寧に触診検査すると、同様に外喉頭筋や咽頭収縮筋さらには舌骨上筋群までも力んで緊張させていることが判明しました。(現時点では、詳しい筋名・程度・状態は秘匿させていただきます)
これが外皮から攻究する声帯結節の特徴です。
100症例中の触診結果は、すべての人のカルテに各種筋肉の“過緊張”の文字が確認できました。
※指先および緑テープの部分が声帯結節の好発部位
難治の症例で治癒したケースを検証してみると、やはり、当院の複数回の施術で喉頭周辺筋が柔軟になった方ばかりでした。
不思議なことに、喉頭筋に力を入れている多くの人は、自分が過緊張性発声している実感を持っていません・・・
四肢や躯体と異なり、形状や場所が分からないためか、無意識に力んで発声しているようです。
そのような方々が声帯結節になり易いのかもしれませんね。
当院の改善作戦
①物療や手技で筋緊張の激しい諸筋や甲状軟骨周辺筋を弛緩させる
②一方の甲状軟骨を反転させ、外皮から披裂部に指を挿入する
③声帯を動かす筋の硬度に左右差を生じさせるような喉頭クリニカルマッサージを行う
施術の重要なポイント
声帯結節ができるのは、いつも同じ場所が強く当たるからです。
そこで、左右の筋伸張度合をほんの少し変化させることで、声帯結節の当たる部位をずらすのです。
きっと1mm以下でしょうが、確実に嗄声が減少して、発声が楽になるようです。
その状態を保持するために、甲状軟骨周辺にテーピングを施すこともあります。
声帯に負荷がかからない状態で日常生活を送ることにより、声帯結節は徐々に消失していきます。
肉刺や胼胝が無くなるのと同じことですね。
もちろん筋肉の特性を考えれば、ある程度長期にわたる複数回の施術が不可欠です。
一瞬にして治ることは決してありません。
繊細な音を追求する音楽家は手術を嫌います。
日々声を使い続けなければならない教師やアナウンサーはステロイド漬けを危惧します。
よって、自己治癒能力を最大限に活かしたこのような施術も声帯結節治療の選択肢のひとつかもしれません・・・
いま、長年悩み続けてきた人々が続々と改善しています。
注意:これらは医師の指導のもと行っております。
また、快癒を確約できるものではありません。
ボイスケアサロン
會田茂樹(あいだしげき)
追記:声帯結節向けの施術は格段に進歩を遂げ、2008年12月現在では、快癒までの期間や通院回数を半減させることができるようになりました。
~メッセージ~
この記事は往時の外喉頭外来〔医師と共同研究〕時のデータに基づくものです。よって、不確かな蓋然性も高く、内容に関し一切の責務を負いません。その旨ご承知いただきお読みください。現在は病気に対するアプローチは行っておりません。声の不調は医師にご相談ください。
by aida-voice
| 2008-05-03 01:38