2008年 04月 23日
優秀な声楽家の特徴 (個人的見解)
声は、喉周辺の筋肉が複雑に動いて作られます。
声帯も筋肉と粘膜で構成されています。
そう、発声はスポーツと酷似しています。
人間ならば、甲状軟骨内部の声帯が振動して声になります。(ここでは一部の仮声帯発声や食道発声は除外)
実在と物理の法則に基づいています。
それに、特別な技巧、芸術性や感性を付加したものが歌唱でしょう。
今日は、これまで声楽を習い始めたばかりの人から世界的に優秀な声楽家の喉を触診してきた私の感想をお話しします。
★優秀な声楽家の特徴★
①外喉頭筋がしっかりしている。(筋分布の判別が容易) 特に輪状甲状筋の筋腹は立派な人が多いことに驚きます。(筋力はその筋肉の横断面積に比例) 素人の歌い手は輪状甲状関節の可動が不全の場合も多々あります。
②筋肉の疲労状態が分かりやすい。発声はすべて筋肉で行っていますから、どんなに優秀な声楽家でも歌い続ければ喉の筋肉は疲れます。プロ野球選手やマラソン金メダリストが疲れないと思いますか? 違いますよね。優秀ゆえに、自分の疲労度合をキチンと把握しているのです。それを触診できるのです。
③無声時の喉頭の筋肉はリラックスしていますが、発声時には瞬時に鞭のようにしなやかに急活動します。(まるで剣術の達人のごとく、無駄な動きをせずにスッと動いて的確に相手を倒すが如くです) 誠に素晴らしい!
④年齢による筋の変化に対応している。若いうちは柔軟性ある筋肉で、高音もFFも考えなく平気で出せますが、ソプラノなら20歳代後半から、テノールなら30歳代半ばから、メゾソプラノやバリトンは40歳以降から、筋肉が衰えて以前と同じ様に歌えなくなってしまい悩みに悩む人が出てきます。才能のない声楽家はここでThe Endでしょう。しかし、優秀な方や意欲のある人は、筋肉の変化を逆手にとって対応できます。決して簡単ではありませんが、改善方法はあります。当院では、それらの処方を行っております。お気軽にお問い合わせください。
⑤喉のケアや整備に労力を惜しまない。あなたの周囲にいるピアニストやバイオリニストを思い出してください。自分の楽器にどれほど気を使っていますか? どれだけ楽器にお金をかけていますか? 歌手は自分の喉に無頓着すぎます。しかし、超一流の声楽家は自分の商売道具である喉を大切にします。それも論理にかなった正しい方法で・・・。(特殊な食べ物や見る色によって声が壊れるような非科学的な迷信はいただけません)
⑥精神的に成熟している。ごく一部の破天荒な天才声楽家を除いて、ほとんど淑女紳士が多いように思います。人を感動させるには節度ある喜怒哀楽と、懐(ふところ)の大きさと穏やかさや素直さが必要で、一時の奇異さや threat だけでは長続きしないでしょう。人柄が身を守り、人を高めたケースを何度も見ています。
今回は個人的な感想を6項目記載しました。
これから、私はさらに多くの優秀な声楽家と未熟な歌い手に出会うことでしょう。
そのつど、気づいたことを書き増やしていきます。
乞うご期待!
ボイスケアサロン
會田茂樹(あいだしげき)
~メッセージ~
この記事は投稿時の情報・見解・施術法であり、最新・正確・最良でない可能性があります。内容に関し一切の責務を負いません。その旨ご承知いただきお読みください。會田の理論と技術は毎日進化しています。
by aida-voice
| 2008-04-23 00:12