質問と回答


質問〔anatomyT2様

甲状軟骨が空中にあるということは、甲状舌骨筋と胸骨甲状筋の力学的な上下バランスも重要になるのではないかと思いますが、どうでしょうか?




回答〔會田茂樹〕

ご質問ありがとうございます。

鋭いご指摘ですね。

おっしゃる通り、甲状舌骨筋と胸骨甲状筋は、甲状軟骨を真ん中として、上下に存在します。

甲状舌骨筋の起始は甲状軟骨板、停止は舌骨体および大角下縁。

胸骨甲状筋の起始は胸骨柄後面かつ第一肋軟骨橋、停止は甲状軟骨板。

ここで注目すべきは、両筋肉とも「引き下げる」役目を担っているということ。

つまり、同時に作用した場合、ベクトルの合力の方向へ動きます。

胸骨甲状筋が垂直に近いのに対し、甲状舌骨筋はやや斜め。

胸骨は固定的だが、舌骨も甲状軟骨も空中に浮いている。

筋線維の総量は胸骨甲状筋が勝る。

これらから、喉頭は下がりますが、舌骨がやや前に出る動きを示します。

ところが、ご存じのように、この二つの筋肉の真上には胸骨舌骨筋が存在します。

「な~んだ、結局、胸骨舌骨筋さえあれば事足りるじゃないか」とお考えになるかもしれません。

しかし、そう簡単な話ではありません。

神経支配が異なるため、完全な同時動作ではなくなるからです。

胸骨舌骨筋と胸骨甲状筋は頚神経ワナ、舌下神経の甲状舌骨筋枝です。

模型を作って動き具合を調べてみましたが、各筋肉の起始停止の位置と力加減の違いで、いかようにも動くため、何度試しても、正確な法則を得ることができませんでした。

今回は、まともな回答から遠いお返事になり、誠に申し訳ございません。

実際、まだまだ解明できていない部分です。

ひとえに、わたしの研究の力不足。

お詫びと共に、今後も研鑽を続け、正解に近づく回答をお示しできるよう、精進いたします。






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追記1:上絵のが甲状舌骨筋、が胸骨甲状筋です。もちろん片側だけでなく、両側に存在します。この両筋を覆うように胸骨舌骨筋があります。加えて、胸鎖乳突筋や広頚筋もあります。また、舌骨に影響を及ぼす顎二腹筋、茎突舌骨筋、顎舌骨筋、オトガイ舌骨筋、肩甲舌骨筋なども見逃せません。いやはや、甲状軟骨&舌骨まわりって、こんなに顔ぶれが多いのです。




追記2:数回のメールのやり取りで、ご質問者は、解剖学の先生(医大教授)と判明。稚拙な私論を展開し、恥ずかしく、また、誠に恐縮しております。





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會田茂樹(あいだしげき)






by aida-voice | 2024-04-13 11:58