2024年 03月 17日
質問と回答
質問〔あぶないオタクくん様〕
甲状軟骨が大きい場合のデメリットに調子が安定しづらいというのを前にお聞きしたのですが、重いので操作に筋力が必要なこと
声帯の左右に距離がある可能性が高いのでより筋力が必要なこと
ここら辺を最初想像していたのですが、私が受けたトレーニングで声道を調整したり非線形ソースフィルタ理論などを用い声門上圧をコントロールし、狙った声帯振動を誘発させるというものがありました。
原音が発生した後一番最初に通る大きい空間が甲状軟骨の内部ですよね。
となると自然条件などでここの体積?が変わり易いっていうのもあるんでしょうか。
回答〔會田茂樹〕
質の高いご質問ありがとうございます。
まず、「私が受けたトレーニングで声道を調整したり非線形ソースフィルタ理論などを用い声門上圧をコントロールし、狙った声帯振動を誘発させるというものがありました」の部分ですが、音声生成に関して的確な内容だと思います。
わたしも、「バイオリンで例えたら、声帯ヒダは弦、5つの共鳴腔は胴のようなもの。音の良し悪しは、弦よりも胴に左右される」と何度も述べてきました。
ちなみに、5つの共鳴腔は、声帯ヒダから近い順に、喉頭室、梨状陥凹、咽頭共鳴腔、口腔共鳴腔、鼻腔共鳴腔となります。
声帯ヒダで作られた原音を、5つの共鳴腔で調音加工します。
これが声です。
ここに、呼気の流量調整と音程/旋律/拍子などを付ければ、歌になります。
さて、ご質問の中心である「原音が発生した後一番最初に通る大きい空間が甲状軟骨の内部ですよね。となると自然条件などでここの体積?が変わり易いっていうのもあるんでしょうか」についてお答えします。
声帯ヒダを通過した呼気は振動して原音を形成し、次に最初の共鳴腔である喉頭室に向かいます。
ここは声帯ヒダと前庭ヒダ(仮声帯)にはさまれた場所で、非常に狭い空間です。
この辺りの軟部組織を、摘出喉頭で検証した経緯があります。
随意筋として確認できるのは、声帯筋と甲状披裂筋。
この両筋によって喉頭室は調整されるものと推測します。
ただし、起始にあたる甲状軟骨板内面の付着部位の破格も多く、その位置によって変化率も異なってくるでしょう。
二番目に呼気が通る梨状陥凹ですが、ここは甲状喉頭蓋筋が主となります。
ギリギリ甲状軟骨の内部と言ってもいいですが、これまた喉頭蓋の大きさや形状が人それぞれゆえ、空間調整能力も人それぞれになります。
そして、音声生成にとって、空間的にも運動的にも利用しやすいのが、咽頭共鳴腔だと考えます。
なにより、体積、形状、硬度など、ある程度自覚してコントロールしやすいからです。
もちろん、これにも個人差は大いにありますが。
いつも最終的に「破格」「人それぞれ」「個人差」という言葉で誤魔化しているような気がしますが、実際のところ、無能なわたしにはよくわからないのが実情です。
ダラダラとまとまりのない駄文を記してしまいました。
謹んでお詫び申し上げます。
追伸:線形理論に関しては、知ってはいますが、深く勉強したことがありません。これまたスミマセン…
ボイスケアサロンⓇ
會田茂樹(あいだしげき)