声質を操る甲状披裂筋


図説 筋の機能解剖(ジョンH.ウォーフィル著)によると、甲状披裂筋の機能は「披裂軟骨を前方にひくことによって声帯ヒダを短縮しゆるめる;披裂軟骨の内旋によって声門を閉じる」と記載されています。


わかりやすく一言で表せば「声を変化させる」となります。


まず、声帯ヒダの張力を制御することで、ピッチを変えることができます。


また、声帯ヒダを太くすることで、音色を変えることができます。


さらに、筋バランスを保つことで、発声を安定させることにも貢献しています。


甲状披裂筋は、甲状軟骨の内部にあり、外部からは見ることも触ることもできません。


以前、米国メイヨークリニック喉頭機能外科のSeminarに参加した際、甲状軟骨を正中に切り開いた状態の摘出喉頭で、甲状披裂筋を触知検証させていただきました。〔解剖は医師〕


梨状陥凹周囲の軟部組織と区別するのが非常に難しかった思い出があります。


反回神経支配ゆえ、甲状腺の手術・心臓の手術・喉頭外傷などで、声帯筋の麻痺は免れ普通に声は出せるが、音程や音色をコントロールできず歌えない場合は、この甲状披裂筋の単独麻痺かもしれませんね。






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ボイスケアサロン

會田茂樹(あいだしげき)





by aida-voice | 2024-03-15 15:57