2024年 03月 13日
質問と回答
質問〔グリファー様〕
茎状突起の骨折についてご教授ください。
回答〔會田茂樹〕
はい、かしこまりました。
茎状突起は楊枝くらいの存在です。
過大な力を加えると、ポキッと折れてしまいます。
つまり、骨折するということ。
これまで、茎状突起骨折を何例も見てきましたが、本当に小さな棒状の骨ゆえ、徒手整復も手術整復も不可能。
基本、放置して、痛みが去るのを待つしかありません。
しかし、実は、骨折の予後が大変なのです。
数か月後、声が出し辛い、ピッチのコントロールが難しい、歌い難いなど、良声からは遠ざかります。
ただし、新鮮損傷なら処置方法があります。
当サロンでは、茎状突起の骨折に対し、テーピングとスポンジを用いて、的確に固定します。
原則は、茎状突起を起始とする茎突咽頭筋が喉頭を吊り下げているため、喉頭の自重で骨折端の距離が拡大してしまうのを防ぐテーピングと、嚥下摂食および発声しても骨折患部に負荷がかからないようにする目的のスポンジ圧迫です。
骨折の状況や程度によりますが、約1~3か月で癒合が完了します。
処置が早いほど快癒の可能性も高まります。
やはり、残念ながら陳旧性の予後は芳しくありません…
追記:グリファーさん、ご質問いただき誠にありがとうございました。質問文の挨拶や結びの言葉は割愛させていただきました。ご容赦ください。なお、メールの回答には詳細図を添付しておきました。時間をかけて描いた作画ゆえ、転載はお控えください。グリファーさんは、お医者様とのこと。茎状突起の骨折を見逃さない医師は少ないと思います。患者さんファーストの素晴らしい先生ですね。ますますのご活躍をお祈り申し上げます。
ボイスケアサロンⓇ
會田茂樹(あいだしげき)