舌骨論


舌骨は、約206個あるヒトの骨の中で、唯一、関節でつながっていない骨です。


つまり、宙に浮いている!


ちなみに軟骨は骨に分類されないため、甲状軟骨は骨とみなしません。


実は、このように宙に浮いているからこそ、さまざまな音声や歌声を作り出すことができるのです。


実際、母指と示指で舌骨を押し込み、固定した状態で声を出すと、発声し難いのはもちろん、響きのない機械的な駄声になってしまいます。


さらに、この状態で歌うと、ピッチや共鳴のコントロールが非常に困難となります。


それゆえ、いつもながら「ヒトの発声のメカニズムってすごいなぁ~」と、感服する日々を過ごしております。



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追記1:舌骨の形状は十人十色。以前、米国メイヨークリニック喉頭機能外科のセミナーで、多数の摘出喉頭を見て触らせていただきました。大きさ、太さ、長さ、角度、左右差など、一つとして同じではありませんでした。付着する筋肉の位置や軟部組織も多様な状態。これらにより、声に個性が出てくるのですね。



追記2:誤嚥で窒息や肺炎のリスクを冒してまでも“声”の獲得を選んだ進化(神様?)に感謝します。



追記3:舌骨を押し込んだ状態で歌うと、ピッチや共鳴のコントロールが非常に困難となるだけでなく、息苦しく、何やらリズム感も低減するような気がします。〔これって、LDP(喉頭深奥ポジション)の疑似状態ですよね…〕





音声音響研究所付属

ボイスケアサロン

會田茂樹(あいだしげき)





by aida-voice | 2024-01-14 02:00