2020年 06月 27日
声と心
心の底で「自分は歌が下手だ」「私は音痴だ」と思い込んでいるひとは、歌を上手く歌えません。
このネガティブな思考は誰が与えたのか?
親や音楽教師の場合もありますが、ほとんどのケースが自分自身。
勝手に妄信しているのです。
まず、何より知って欲しいのは『歌はアート』であること。
そもそも基準が曖昧なのです。
つまり、上手い&下手は、各人の捉え方で異なってくる点にあります。
以前もお話ししましたが、大昔、音痴の叔父が息子の結婚式で、家族が反対したにもかかわらず、アカペラで長渕剛さんの「乾杯」を熱唱しました。
もちろん、音程もリズムも滅茶苦茶。
それでも、心を込めて息子夫婦の幸せを強く願いながら歌いこんでる様子が、披露宴の参列者に伝わり、ほとんどのひとが感動して涙を流していました。
わたしは、このときの光景を鮮明に覚えています。
「上手いだけが歌じゃないんだ・・・」と。
次の事例です。
友人の歌手のコンサートに行ったときのお話し。
名前は誰でも知っている歌唱力ある有名人。
楽しみにして聴き入っていたところ、「あれ、いつもの歌声じゃないな」と感じたのです。
むしろ下手と言っても過言ではない出来栄えでした。
さすがにこのときは楽屋への訪問は控え、後日、会ったとき、本人の口からその原因を知ることとなりました。
詳しくは述べませんが、実は、私的トラブルで精神的にまいり「今日は歌いたくない…」と感じていたそうです。
合点がいきました。
上記の事例から、やはり心が歌に影響している可能性が大いにありそうです。
歌は、『歌い手が思ったような歌になる』と言えますね。
追記1:歌にとって負の刷り込みを解く方法です。①歌や歌詞を十分に理解する、②上手い下手は横に置いておく気持ちを持つ、③誰かのために歌ってみる、④歌って素晴らしいものだと感じる、⑤歌える環境と健康に感謝する、⑥自分には歌唱力が備わっていると信じ込む、など試みてください。もちろん、プロ歌手で活躍したいひとやカラオケ採点で100点を取りたいひとは、音程やリズムなどの適切な歌唱訓練は必須ですが・・・
追記2:もっと簡単な方法は、歌上手だと無理やり思い込むのではなく「歌っている自分を褒めてあげる」こと。他人の評価なんか気にせず、このように自分を肯定して歌っていると、知らず知らずのうちに良い歌になる研究結果が出ています。だからわたしはいつでも誰彼構わず褒めまくります。
※自分が歌上手だと思っているひとと歌下手だと感じているひとの発声関与筋の硬さを数多く計測してきました。皆さんの予想通り歌上手だと思っているひとの発声関与筋は柔らかく、その硬度比は約2.5倍にもなります。
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