2019年 11月 21日
肩甲舌骨筋のFloatingの左右差
これまで本当に多くの例を見てきました・・・
それは肩甲舌骨筋のFloating。
発声時、肩甲舌骨筋が無意識に膨隆する現象。
多少なら問題ありませんが、
あからさまに盛り上がると、
肩甲舌骨筋前腹と後腹の収縮ベクトルの合力が頚椎方向のため、
喉頭全体が奥まって、
詰まり感・息苦しさ・声が響かない・大きな声が出ない・かすれ声・むせや空咳などが
起こってきます。
それが、癖として常態化することによって、
外喉頭筋が硬く奥まったまま前に出てこない。
これを「喉頭深奥ポジション」と称しています。
決して病気ではありません。
繰り返しますが、
外喉頭の特異的な環境による“筋肉の癖”だと考えています。
さて、
この肩甲舌骨筋が浮き上がり過ぎると喉頭深奥ポジションになりやすいのは確かですが、
今回、
両側性と片側性(左右差があるケース)に関して調査してみました。
過去の施術録および検査記録から
肩甲舌骨筋が浮き上がる例をピックアップ。
今はワード検索機能があるため、
非常に便利になりましたね。
2006年から2018年の12年間で1638例。〔耳鼻咽喉科での外喉頭外来を含む〕
そのうち両側性は697例、片側性が941例(※R>Lが699例、R<Lが242例)
そして、両側性で若干でも喉が詰まるなど訴えたのが548例、片側性は476例。
率にすると、両側性は78.6%、片側性は50.6%。
つまり、
片側性の場合、
半数のひとは喉頭深奥ポジションまで至らず、
詰まり感も違和感も覚えない…、
そう、何の問題もない状況なのです。
考察として、
片側性の場合の深奥化は、
舌骨を中心に喉頭がやや捻転しながら移動するため、
頚椎へのダイレクトな圧迫が少ないのためと思われます。
実際、
じっくり観察してみると上説を確認できます。
両側性は逃げ場なく頚椎方向へ押し込められ、
多少の深奥化でも、
声が出し辛く感じるのでしょう。
なお、
片側性で詰まり感がなくとも、
肩甲舌骨筋のFloatingは、
発声運動を損ねる可能性は否定できませんので、
プロの歌手などは改善が望ましいものと考えます。
以上、ご報告まで。
※片側性の左右差で、右側が多い件も検証しなければなりませんが、利き手など影響しているのかもしれませんね。現段階では推察ですが・・・
追記:肩甲舌骨筋の情報は『喉辞典』の「目次 か行(が行)3」の肩甲舌骨筋の項目でご確認ください。
かわらぬご愛顧に感謝!
平成2年4月4日開業(創業29周年)
まだまだ進化の歩みは止まらない …
喉と声のスポーツトレーニング&リラクゼーション
ボイスケアサロン