台風と声〔実験報告〕



近年、


気候変動により台風の被害が大きくなりつつあるようです。



令和元年の台風で被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。



台風は家屋に被害を与えるだけでなく、


実は、


声にも影響を与えます。



今回は台風接近時の声の変化を考察してみます。



台風がやって来るときは、


かなり気圧が下がります。



気圧が下がると、


血管や臓器の膨張が考えられます。



声帯ヒダは、


声帯筋と声帯粘膜から成り〔詳細には声帯筋・声帯靱帯・ラインケ腔・非角化重層扁平上皮:最下絵参照〕、


気圧の急激な低下によりむくみやすくなります。



声帯ヒダがむくめば、


実質、


質量が増すため、


日頃よりピッチが低くなります。



例えるなら、


ギターやバイオリンの弦が太く重くなって


低音化するようなもの。



また、


声帯ヒダのむくみによって声門が開く傾向となり、


そこから呼気が漏れ、


気息の嗄声(かすれ声)も生じます。



これは「だみ声」のような声質。



よって、


「台風のとき声は悪くなるの?」の質問には、


おおむねイエス。



なお、


ほとんどのひとは、


気圧が下がっただけで、


ここまで極端な変化はありませんのでご心配なく。






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追記1:実験したことがあります。それは2018年台風12号のとき。知人の歌手の協力を得ました。音響ソフトを用いて、晴天時と台風接近時を計測しました。結果は予想通り音程が数Hz下がりました。しかしながら、この歌手が台風接近時に体調変化(若干の自律神経の乱れ)を自己申告したため、声帯変化のみで評価するものではないと思われます。きっと、さまざまな要因が組み合わさっているのでしょうね。





追記2:台風で自然災害が予想される時にコンサートやフェスを開催するのは、声に良くないだけでなく、交通網も乱れ、移動にも危険が伴いますので、極力、早めの順延や中止の決定が望ましいと思います。







声帯ヒダ断面模式図

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by aida-voice | 2019-11-14 19:09