2019年 11月 14日
台風と声〔実験報告〕
近年、
気候変動により台風の被害が大きくなりつつあるようです。
令和元年の台風で被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
台風は家屋に被害を与えるだけでなく、
実は、
声にも影響を与えます。
今回は台風接近時の声の変化を考察してみます。
台風がやって来るときは、
かなり気圧が下がります。
気圧が下がると、
血管や臓器の膨張が考えられます。
声帯ヒダは、
声帯筋と声帯粘膜から成り〔詳細には声帯筋・声帯靱帯・ラインケ腔・非角化重層扁平上皮:最下絵参照〕、
気圧の急激な低下によりむくみやすくなります。
声帯ヒダがむくめば、
実質、
質量が増すため、
日頃よりピッチが低くなります。
例えるなら、
ギターやバイオリンの弦が太く重くなって
低音化するようなもの。
また、
声帯ヒダのむくみによって声門が開く傾向となり、
そこから呼気が漏れ、
気息の嗄声(かすれ声)も生じます。
これは「だみ声」のような声質。
よって、
「台風のとき声は悪くなるの?」の質問には、
おおむねイエス。
なお、
ほとんどのひとは、
気圧が下がっただけで、
ここまで極端な変化はありませんのでご心配なく。
追記1:実験したことがあります。それは2018年台風12号のとき。知人の歌手の協力を得ました。音響ソフトを用いて、晴天時と台風接近時を計測しました。結果は予想通り音程が数Hz下がりました。しかしながら、この歌手が台風接近時に体調変化(若干の自律神経の乱れ)を自己申告したため、声帯変化のみで評価するものではないと思われます。きっと、さまざまな要因が組み合わさっているのでしょうね。
追記2:台風で自然災害が予想される時にコンサートやフェスを開催するのは、声に良くないだけでなく、交通網も乱れ、移動にも危険が伴いますので、極力、早めの順延や中止の決定が望ましいと思います。
声帯ヒダ断面模式図
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