2019年 04月 24日
ブレスで困っているひとへ【重要】
まず、知って欲しいのは、普通にしているときの呼吸は意識していないこと。
もし、日常生活上で呼吸が苦しいのなら、それは呼吸器の病気。
すぐに病院へ行ってください。
ここでは歌の呼吸について扱います。
歌っていると途中で苦しくなる、3曲歌うのが限界、息継ぎが下手だと感じているなどなど。
プロアマ問わず、歌唱時の呼吸の様子を観察してきました。
その結果、次の3点がわかりました。
①心肺機能が弱い
②歌唱時に息を吐いていない
③LDPの存在
説明しましょう。
まず、①の心肺機能が弱い。
これは、元々そのひとの呼吸能力が脆弱なために歌唱時の息が足りなくなってしまうことにほかなりません。
よって解決法は、歌とは関係なく、有酸素系の運動やスポーツを取り入れる。
ランニングや水泳などが適しているでしょう。
今までライブの途中で息切れしていたシンガーが、マラソンを走るようになってから、アンコールまで一気に歌い続けることができるようになった報告も受けています。
次に②の歌唱時に息を吐いていない。
これは、ブレス下手に多く見られるのですが、歌っている最中の呼気が少な過ぎて、ブレスのタイミングで上手く吸気できない。
途中で苦しくなるのを恐れて息を吐かないよう頑張るひとや、「吸うように歌いなさい」と指導されたひとに多いような気がします。
次の一言で目から鱗が落ちるでしょう。
この現象は、まさにスイミングのクロールの息継ぎと同じ。
クロールを泳ぐ際、顔が水中にあるとき、能動的に鼻から息を吐き、顔が水面に出たとき、一気に吸い込む。
ヨガや各種呼吸法でも語られているように、呼吸の根本は最初に息を吐くこと。
呼気で肺内部の空気を減らさなければ、その後の吸気は絶対に不可。
これが大原則。
よって、ブレスで困っているひとは、歌いながら鼻からも空気が出ているイメージを持つと良いでしょう。
これまで、この方法で解決した例が多数あります。
最後に③のLDPの存在。
外喉頭筋の癖であるLDPによって喉頭が深奥化かつ筋硬度が上昇し、喉の詰まり感を得たり、息苦しく感じたりします。
つまり、物理的に呼吸がやりにくいのです。
当サロンで、甲状軟骨翼のエッジに指を掛けて前に引き出すと、ほぼ全員が「おぉ、息が楽だ」「これは呼吸しやすい」とおっしゃいます。
LDPのひとは、改善した方がブレスが上手くいくのは、火を見るよりも明らかでしょう。
まずは、①②③のどれか、あるいは複合なのかを見極め、それぞれに応じて対処するのが大切だと考えます。
追記1:さらに上級の内容。『FSBR』や『加圧呼吸トレーニング』で歌唱用の呼吸力を高めると、歌唱中どこで息継ぎしているのかわからないくらいブレスが上手くなります。一部の歌を除き、荒いブレスはみっともないですからね。
追記2:踊りながら、寝ころびながら、どんな体勢でも最高の歌唱用呼吸を可能にさせる訓練が『アルティメットブレストレーニング』です!
喉と声のスポーツトレーニング&リラクゼーション
ボイスケアサロン
會田茂樹|あいだしげき