2019年 02月 05日
声能力を計ろう!【筋硬度計詳解】
ボイスケアサロンで使用している筋硬度計は、誰でも手に入れることはできますが、簡単に使いこなせる計測器具ではありません。
外喉頭の医科学の知識が無いまま、筋硬度計を喉頭に押し当てると、十中八九「オエッ」と咽(むせ)てしまいます。
まず、圧着部の角度は、舌骨部・甲状軟骨部・輪状軟骨部のそれぞれ異なります。
これが、かなり難しい…
相当の熟練が必要です。
計測前には必ず触知チェックでクリック音の有無を確認します。
クリック音がある場合は、ロックを回避しながら甲状軟骨エッジより離れた部位から測定します。
クリック音がない場合は、筋硬度計が甲状軟骨板に垂直に当たるよう測ります。
そして、最重要は、この計測器は“比較”を主体としている事実。
グラムとかキログラムの単位ではなく、当該品の独自バネ単位としてトーン〔tone〕と呼称しています。
ごく稀に「数値をコントロールしているんじゃないの?」と疑われますが、そんなことをしたら正確な評価ができなくなるため、常に同一方法で扱っております。
これまで2万人以上の喉頭を測ってきました。
その結果、一般的には30トーン以内なら発声関与筋は柔軟性を有し、何ら問題ないと断言できます。
痙攣性発声障害や音声震戦症などご病気の方は80トーンを超えることもしばしば。
ちなみに、声が良く歌が素晴らしいエリートボイスユーザーは、10トーンから20トーンの間がほとんどです。
曖昧な検査ゆえ、指標の一つに過ぎませんが、声能力を計ることができるのです。
さてさて、あなたの筋硬度の数値は?
追記:計測値が10~20トーンの域は、発声関与筋の硬さを計っていると言うより、柔らかさを表していると述べるべきでしょう。そう、喉頭(舌骨、甲状軟骨、輪状軟骨)は、骨などの硬物に接続せず、空中にぶらぶら吊り下げられているのですから。
ボイスケアサロン
會田茂樹|あいだしげき