2019年 01月 06日
LDPが厄介なのは発声関与筋の筋力低下
声の病気を問わずLDP状態が続くと、発声関与筋の筋力が落ちます。
廃用性萎縮に近似かもしれません。
筋力は筋肉の横断面積に比例するため、LDPとLDPでないひとの喉を触知すると、明らかにLDPのひとの筋肉は薄い。
発声しながらの動的触知でも、発声関与筋の運動範囲が狭くなっています。
そして、LDPの経緯が長いほど、それらの度合いは高まります。
これまで、LDPの改善策は①〔発声関与筋を含む外喉頭筋の軟化〕と②〔それに伴う喉頭の前方移動〕の2点が肝心であると考えられてきました。
最先端の考えでは、その次となる③〔発声関与筋の筋力アップ〕が加わりました。
どういうことなのか?
LDP専用のアプローチによって①と②は改善します。
ところが、LDPになった原因も理由も定かでないケースが多いため、再びLDPになりやすい、あるいは、LDPの悪い癖を覚えてしまった、などにより戻ってしまう例もあります。
近年、二度とLDPにならないようにするには、①と②をクリアした後、③の獲得が必須である事実がわかってきました。
発声関与筋の筋力と運動性を高めれば、再発は防げます。
もちろん、歌唱にも好影響ですよね。
何よりタフな喉になります。
歌い続けてもへこたれない。
加えて、輪状甲状筋の活躍により音域はみるみる広がります。
さらに、ピッチとリズムが正確に合わせられるようになります。
喉が思い通りの動きをして、自由自在に声が出せるようになるため、自ずと歌の表現力は増します。
以前より繰り返しの文言となりますが、LDPは病気ではありません。
喉頭が奥まって発声関与筋が硬くなった状態を指すのみ。
放置してもまったく問題はありません。
ただ、喉の詰まり感や歌唱不良など、声を大切に感じているひとにとっては・・・
追記1:多くを調査した結果、LDPによる筋収縮が顕著なのは・・・ 輪状甲状筋!
追記2:②によって、A「咽頭共鳴腔の拡大」、B「喉頭蓋の立ち上がり角度上昇」、C「迷走神経圧迫の軽減(咽や空咳の解除)」、D「輪状甲状関節の可動域拡大(高音発声に必須!)が叶います。A~Dはメリットですが、デメリットもお伝えしましょう。全員ではありませんが、LDPが酷かったひとほど、喉頭(主に喉ぼとけ)が浮き上がってやや大きく見えるようになります。ビジュアル的には好き嫌いがあるかもしれませんね。
追記3:あるボイストレーナーの話題です。その先生とは知り合いでした。よく勉強され、発声科学やLDPのことも熟知している立派な指導者。ところが、明らかにLDPとわかる多くの生徒に、その旨を告げず、独自のボイストレーニングを続けさせる。つまり、生徒を長く囲い込んで売り上げを伸ばす経営方針を選んでしまったのです。確かに、昔に比べボイストレーナーも増えました。熾烈な競争で運営が大変なのは重々承知しております。しかし、本気で歌が上手くなりたい生徒のことを思うと、これで良いのだろうかと考えてしまいます。調査では、何らかの発声メソッドの習得によってLDPが改善したケースは極わずかでした。身体がガチガチにこわばって動きの悪い野球選手が、バッティングテクニックの練習だけでフルボディの柔軟性と運動性を獲得して一流プロ野球選手になれるでしょうか?
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會田茂樹|あいだしげき