2018年 12月 05日
真実を告げるべき?
先日お越しになったJ-POP歌手志望の男性から意見をいただきました。
一部を載せます。
「喉の形に言及しなかったのは、僕の形が良くないからなのですね。情報によるとボイスケアサロンでは『喉の形が良い』と褒められるケースが多いと聞きます。それならそれで本当の事を言って欲しかったです。『君の喉は形が悪いので歌手に向いていない』と」
いつもながら非常に難しい判断です。
確かに、当サロンには、歌手・声優・アナウンサー・役者など、声に関わる仕事をしている方、および、そのような職種に就きたい方が大勢いらっしゃいます。
その方たちは、やはり発声に適した大きく形の良い喉をお持ちです。
良い喉頭と断言できる割合は約9割。
でも、残り1割の方は、甲状軟骨が小さかったり舌骨が小型リング状であったり、音質が低下する弱点を秘めています。
残念ながら、骨や軟骨の形状は、第二次性徴以降は不変です。
筋肉(軟部組織)ならば、柔軟性や筋力を変化させることはできます。
よって、彼の夢を打ちのめさないよう喉頭の形状は伏せました。
いつも迷います。
「あなたの喉の形からすると、あなたの求める声を出すのは難しいかもしれません」と告げるべきか・・・
皆さんは、どう思いますか?
追記1:なお、喉頭の形状が悪くても、歌唱力がなくても、プロ歌手にはなれます。特に今は、歌詞やメロディーが秀でたり、個性が唯一無二であったりすれば、世間から評価されるケースも多々あります。諦めずに頑張ってください。
追記2:わたしの恩師である一色信彦先生が考案した喉頭枠組手術によって、若干は喉頭の形状を変えることができます。画期的な素晴らしい術式です。ただ、甲状軟骨の大きさは変わっても共鳴腔までは難しく、加えて手術による瘢痕・癒着が発声力を低下させる恐れがあるため、病気治療や性転換希望の方を除いて、歌手にはお勧めしていません。
喉と声のスポーツトレーニング&リラクゼーション
ボイスケアサロン
會田茂樹|あいだしげき