音声ボディパーツ生成論の是非


当サロンにお越しになっている音大生から問われました。

「ある日、『まっいいか…』と思って寝ぐせのまま音大教授のレッスンに行ったら、『髪の毛の先から共振して声が出てくるので、キチンときれいにしてきなさい』とひどく怒られました。これって本当でしょうか?」

相変わらず“音声ボディパーツ生成論”が存在していますね。

復習です。

歌は、声という音を使います。

声は呼気の力で声帯ヒダを振動させて小さな原音を作り出し、その原音に音色や響きなどの加工をするのが5つの共鳴腔です。

万が一、共振して髪の毛の先から音が出るのなら、それは声とは言えません。

なぜなら、声帯ヒダ以外の振動によって作られた音は声と呼称しないからです。

さらに、歌とは、声に旋律と拍子をつけたものであり、声以外の音に旋律と拍子をつけたものを歌とは言いません。

バイオリンは弦と弓がこすれて音が作られます。

バイオリンの音を声と言いますか?

バイオリンで演奏した曲を歌と言いますか?

ピアノはハンマーで弦を打って音が作られます。

ピアノの音を声と言いますか?

ピアノで演奏した曲を歌と言いますか?

では、声帯ヒダ以外のボディパーツ〔身体の各部位〕で作られた音はどうでしょう。

関節をポキポキ鳴らした音を声と言いますか?

唇(くちびる)を利用した口笛の音を声と言いますか?

口笛で吹いた曲を歌と言いますか?

これまで、数々の先生方の様々な音声ボディ生成論を耳にしてきました。

決してこれらの意見が悪いと言っているのではありません。

特定の部位を鳴らすイメージを持つことで、そのひとの歌唱が向上するなら問題はないのです。

音声ボディ生成論の非科学性を十分に認識し、最新の発声学を熟知した上で、パワハラやセクハラにならないよう、生徒や弟子の向上を願って指導するのはアリです。

最後に、これまで聞きおよんだ部位を列挙してみましょう。

頭頂、髪の毛、額(ひたい)、眉間(みけん)、眼球、鼻の先端、耳たぶ、項(うなじ)、顎(あご)の先端、舌、肩、肘(ひじ)、指先、指の爪、胸、お腹、臍(へそ)、背中、腰、肛門、性器、膝(ひざ)のお皿、外踝(そとくるぶし)、足の裏など。

本当に、これらの部位から声が出てくるのかしら???






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追記1:きっと、この教授先生は、身だしなみの乱れがレッスンや歌に悪影響を与えると考え、たしなめたのではないかと思います。その寝ぐせが、アートとして狙った髪型なら構いませんが、怠惰なものなら、人前で披露する愛すべき大切な歌を、あなたは若干ないがしろにしているかもしれませんよ。






追記2:ヒトの5つの共鳴腔は、声帯から近い順に、喉頭室・梨状陥凹・咽頭共鳴腔・口腔共鳴腔・鼻腔共鳴腔です。空気が流れながら振動を伴う状態が音。音=声として共鳴(共振)する場所には、必ず空気が存在しなければなりません。








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 會田茂樹|あいだしげき 




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by aida-voice | 2018-06-27 15:01