2018年 06月 11日
「機能性発声障害」と「発声のフィジカルセンス」
これまで多くの機能性発声障害の方々の喉頭を施術してきました。
当サロンは医療機関ではなく、各種方法で発声力を高め、それらの病気を改善および克服するお手伝いをしているのみ。
機能性発声障害者様用の施術は、主に三つの柱から成ります。
Ⅰ 外喉頭筋の柔軟性獲得
Ⅱ 発声関与筋の筋トレ
Ⅲ 発声力アップのトレーニング
各人の喉頭状況に応じて、さらに細かいオリジナルのアプローチやトレーニングが展開されます。
そう、喉の形や筋肉は、皆それぞれ異なるから。
では、ボイスケアをまじめに受け続けていれば、改善や克服はできるのか?
いいえ、簡単ではありません。
中でも痙攣性発声障害や音声震戦症などは、専門医でも快癒させる治療法が確立されていないため、我が師匠の一色信彦先生が編み出した喉頭枠組み手術やボトックス注射などで対症療法を施すのみ。
それゆえ、たかだかボイスケアごときで、病気が良くなるものではありません。
当サロンが目指しているのは、①発声のしやすさ、②発声力の強化、そして、③声を誤魔化すこと。
実際、③の声を誤魔化すことができるようになると、日常生活で困らない程度までになります。
歌も歌えます!
声の誤魔化しを成し得るには、絶対条件があります。
それは、「発声のフィジカルセンス」を持っていること。
どういうこと?
一言で表すと、声を作り出すとき、正確かつ有効に活動する筋運動の感性を、無自覚で有するひと。
思い出してください。
小中学生のとき、野球でもサッカーでも器械体操でも、それまで経験していない初めてのスポーツでも、何をやっても上手い運動センスに優れた生徒がいたでしょう。
声を一種の運動としてとらえたとき、同じように、発声練習なんてしなくても、声の出し方が上手い。
こんな感じでしょうか。
発声のフィジカルセンスは、生得的な影響が大きいような気がします。
では、発声のフィジカルセンスを持ち合わせてないひとは、諦めるのか?
いいえ、男女年齢にかかわらず誰でもブラッシュアップすることはできます。
そのセンスを高める一つとして『聞く力』が挙げられます。
耳から聞いた音(聴覚)を、フィードバックして正しく再表現(発声)するための必須能力です。
つまり、耳が良くなければ、「発声のフィジカルセンス」は培えないのです。
その聞く力を養うのが『耳力アップ』のオプションアプローチですよね。
医師から機能性発声障害と診断された後、当サロンに通って懸命に努力したにもかかわらず、声が改善しないケースの半数近くは、この聞く力の不足によるものではないかと考えています…

