2018年 04月 11日
ファルセットが出ない
今まで出ていたファルセットが急に出なくなった際は、まず、あなたの声を正しく理解してくださる声専門の耳鼻咽喉科で診てもらいましょう。
風邪や咽頭炎、声帯結節やポリープ様声帯など、病気の可能性がありますからね。
さて、病気ではないと判断された場合、何が起こっているのか?
最初にファルセットを知らなければなりません。
とは言え、ネットで検索してもわかるように、ファルセットの本態はつかめていません。
いろんな意見があります。
わたしも「ファルセットと裏声は同じですか?」「ファルセットのメカニズムを教えてください」と問われても、正確性に欠けるため、多くを語ることはありません。
今回は、推測の域を出ませんが、ちょっとだけ解説します。
ファルセット音の様子から、声帯ヒダを細く薄くして振動させていることは間違いないでしょう。
その振動部分は、声帯粘膜のみ、もしくは、声帯粘膜と声帯筋の一部(ラインケ腔や声帯靭帯を含む)の二種です。
ここで共に名前が出てくるのが声帯粘膜。
粘膜は、ほぼ水分で構成されています。
よって、もし水分含有量が減れば、振動が難しくなります。
想像してみてください。
水分が減りカラカラになって硬くなったらどうなるか?
そこで、病気や加齢を除き、水分が減る最大の原因を考えると『乾燥』が挙げられます。
乾燥というキーワードは冬を連想します。
確かに冬場は喉も乾燥しがちですが、その外的要因だけで、ファルセットが出せなくなるものではありません。
乾燥してファルセットが出ないなら、多くの歌手にとって冬場は休業になるはず。
そのようなことはありません。
環境を除いて検討してみると、一つの考えが出てきます。
それは…、呼気が水分を奪ってしまう点です。
つまり、発声時に呼気が多いと、声門を通過する際に粘膜(声帯粘膜の表面)の水分を奪ってしまい、微細な振動が損なわれ、ファルセットが難しくなる。
また、「春になるとファルセットが出しにくい」とよく耳にします。
これは日本の春先の特有な現象として、PM2.5や花粉の存在があります。
PM2.5 や花粉が声帯ヒダに付着し、粘膜(声帯粘膜の表面)から水分を奪ってしまう可能性も考えられなくありません。
もちろん、異物付着によって、声帯ヒダの振動効率が悪くなり、思い通りの発声が困難になる事実も含みます。
上記は推論の域を出ませんが、ファルセットが出ないとき、発声用呼吸を見直してみると良いかもしれませんよ。
追記:風邪や咽頭炎などで、声帯ヒダがむくんで、声帯粘膜の水分含有量が増した場合も、自由なファルセットは困難になると考えます。声帯ヒダの重量が増すため、声は重く低くなりますよね。
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會田茂樹|あいだしげき