2018年 02月 09日
声帯筋のストレッチはお任せください!
声帯筋は収縮するものの、自己で伸長はできません。
声門の開閉にも関与しません。
運動筋にもかかわらず、存在の感覚も動く感覚もありません。
さて、この声帯筋が硬くなると、①ピッチのコントロールが苦手になる、②音域が狭くなる、③地声と裏声の変換が難しくなる、④高音が金属的になる、⑤息漏れ(嗄声)が生じやすい、などが見受けられます。
そこで、しなやかな動きを取り戻すには、声帯筋をストレッチしなければなりません。
でも、自律的に動かすことができない。
じゃあ、どうする?
答えはあります。
輪状甲状関節モビリゼーション!
甲状軟骨をホールドし、輪状軟骨を上下させることで、声帯ヒダを伸ばしたり縮めたりできます。
基本的に無声で行いますが、もし声を出したら、低音から高音、高音から低音へと、ギュンギュン変化する音に驚くはず。
さらに、強力なストレッチを行うのが、輪状甲状関節バックアタックです。
これは、術者が二名必要となる高度な技。
輪状甲状関節のヒンジ運動とスライド運動の2タイプの動きを完全網羅し、声帯筋の完璧なストレッチを行えます。
なお、この技はハイパークラスのみ採用。
最近は、外部から内喉頭の運動筋へのアプローチ法や、各種筋トレが豊富に編み出されています。
研究を深め、さらに増やしていきたいと考えています。
追記1:輪状甲状関節モビリゼーション、および、輪状甲状関節バックアタックを行うには、“匠の技”が必須。安易にマネして事故がないようご注意申し上げます。
追記2:昔、「ボクは、片方の声帯を止め、もう一方の声帯だけで声を出すことができる」と豪語していた声楽家がいました。懇意にしていたため、それでは調べてみようと話が進み、友人の耳鼻咽喉科医にお願いして喉頭ファイバースコープで見てみました。「それでは、右の声帯を止めるよ」と言って発声した際の様子をモニターで観察したところ、左右の声帯がきれいに波打ち動いていました。やはり随意に動かしたり止めたりは無理みたいですね。
追記3:よく「声を出せば声帯のストレッチができますよ~」とおっしゃる指導者がいますが、厳密には間違いです。喉ニュースを読まれているひとなら既にわかっているはず。発声時、すなわち、声帯筋の稼働中に、随意で伸長させるのは無理。もちろん、発声を繰り返すことで運動性が高まり、声帯ヒダの動きは良くなるかもしれませんが、言葉通りのストレッチではありませんよね。あなたはダンスしながら腕や背のストレッチが正しくできますか? あなたはバスケットボールをプレーしながら脚のストレッチが正しくできますか?
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會田茂樹|あいだしげき