2017年 09月 28日
声門下共鳴に関して
あるボイストレーナーが「声門下共鳴が大事です」とおっしゃっているのを耳にしました。
これについて解説します。
そもそも声は音。
音は空気の粗密波、つまり、空気の振動です。
この空気の振動が、耳の中の鼓膜を振動させ、聴覚神経から脳によって音と認識されます。
ヒトの声は、呼気が声帯を弾いて空気の振動を作り(原音)、それを各共鳴腔で加工し(音色や響き、)体外に放出され、相手の耳の中の鼓膜に到達します。
ところが声門下は、声帯の真下ですから、まだ振動が作られていません。
その段階で音を加工する作業は不可能です。
もし、声門下の重要性を説くなら、共鳴ではなく、呼気の流れの問題を語るべきでしょう。
声門下では、空気の過流や乱流が生じ易く、声帯振動率を左右させます。
正確な呼吸によって、声帯を無駄なく活かすことができるようになります。
有用な呼吸法として、FSBR、加圧呼吸トレーニング、アルティメットブレストレーニングなどがあります。
追記1:声門下で声(音)が作られるなら、トランペットのマウスピースを吹く前に音が出てきます。ギターの弦を弾く前に音が鳴ります。ピアノの鍵盤を叩く前に音が奏でられます。そんなわけありませんよね。
追記2:通常の深呼吸だけでは、内外肋間筋の筋トレにも肋椎関節の可動域拡大にも至らないため、歌唱用呼吸のトレーニング法とは言えないと考えます。
ボイスケアサロン
會田茂樹|あいだしげき
~重要なお知らせ~ ●外喉頭から考究する発声の理論と技術は日々進化しています。この記事は掲載時の情報であり、閲覧時点において最新・正確・最良でない可能性があります。すべての記事の内容に関し、一切の責務を負いません。●記事の内容は万人に適合するものではないため、当サロンの施術に関し、記事の内容通りの効果や結果は保証も確約もしておりません。〔当サロンでは役立てないと判断された場合、理由を問わず施術をお断りします〕●声や喉の不調は、最初に専門医の診察を受けてください。歌唱のトラブルは、最初にボイストレーナー(音楽教師)にご相談ください。
by aida-voice
| 2017-09-28 00:55