2016年 09月 16日
声の短問短答【続編】444
「声帯が小さいから声量がないと言われました。声帯を大きくできますか?」
まだ、声帯至上主義がはびこっているのですね。
ピロリ菌を知っていますか?
正式名称ヘリコバクター・ピロリは、オーストラリアのロビン・ウォレンらにより発見されました。
1983年のこと。
その昔、胃潰瘍などはストレスや刺激物摂食が主要因であるとされていました。
彼らは、発見時より、ピロリ菌が原因であると訴えてきましたが、世間は受け入れませんでした。
ようやく、最近やっと話題に上るようになって、胃潰瘍だけでなく胃がんの原因でもあるため「ピロリ菌の除去」が声高に喧伝されているのは周知の事実。
正しいことが判明しても、隅々まで行き渡るには時間がかかります。
ましてや運動感覚を有しない小さな声帯ヒダなんて、大半のひとにはどうでもいいこと。
「声帯が強いと声量が豊富」「大きな声帯は歌手向き」など、まだまだ声帯至上主義は続くでしょうね。
発声に対する真実の認知は、残念ながら、はるかかなた・・・
おっと、質問の答えがまだでしたね。
是非、ご自身で正解を導き出してください。
追記:声帯ヒダは弦楽器の弦に例えられます。弦で作られるのは小さな音源であって、大きな良い音へと加工するのは胴(ボディ)の役目です。ヒトでは共鳴腔が担っています。基本的な共鳴腔は5つあり、声帯ヒダに近い順から、喉頭室・梨状陥凹・咽頭共鳴腔・口腔共鳴腔・鼻腔共鳴腔です。なお、よく間違えられるのが、頭部や胸部。声=音は、空気の振動です。
頭蓋内に空気は存在しません。また、音は生成される前の空気には伝播しないため、胸部で共鳴や倍音は不可能です。ある音楽教師は「ひざのお皿から声を出せ!」と指導しています。現実的には、ひざのお皿(膝蓋骨)から共鳴音は出せません。まあ、その各部位から声が出るイメージによって、良好な発声が叶うなら、それはそれでOK。発声も一種のスポーツ(運動)ですから、イメージによる喚起は重要だと思います。正しい医科学的知識の上にイメージが加われば、その効果は格段に上がるでしょう。
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會田茂樹|あいだしげき
~重要なお知らせ~ ●外喉頭から考究する発声の理論と技術は日々進化しています。この記事は掲載時の情報であり、閲覧時点において最新・正確・最良でない可能性があります。すべての記事の内容に関し、一切の責務を負いません。●記事の内容は万人に適合するものではないため、当サロンの施術に関し、記事の内容通りの効果や結果は保証も確約もしておりません。〔当サロンでは役立てないと判断された場合、理由を問わず施術をお断りします〕●声や喉の不調は、最初に専門医の診察を受けてください。歌唱のトラブルは、最初にボイストレーナー(音楽教師)にご相談ください。
by aida-voice
| 2016-09-16 10:21