美輪明宏さんの素晴らしい咽頭共鳴腔


上席ボイスアドバイザー甘利実乃先生からの質問です。

甘利先生「NHK朝ドラ『花子とアン』のナレーションを担当した美輪明宏さんの声が聞き取り難いとの意見があったと知りました。解説してください」

會田茂樹「美輪明宏さんの楽屋挨拶には何度も出かけており、既知の方ゆえ、詳しくお話できませんが、美輪さんの真骨頂は咽頭共鳴腔の使い方にあります。空間形成力とムービング動作性には舌を巻きます。お見事です。咽頭共鳴腔をしっかり使うことで、音楽的に優れた音色となりますが、ナレーションのような内容を正しく伝える音声には、口腔共鳴腔を主とする発声が有効だと考えます。このことにより、一部の方々(とくにシニア層)には聞こえが良くないと感じられたのかもしれませんね」

甘利先生「咽頭共鳴腔を使うことは、お風呂の中で歌うようなものと解釈して良いですか?」

會田茂樹「まさに、言い得て妙です。風呂場では声が反響して芸術的に聴こえますが、朗読の場合は言語がぼやけてしまい、内容が聞き取り辛くなるでしょうね」

甘利先生「声の目的によって、5つある共鳴腔(喉頭室・梨状陥凹、咽頭共鳴腔・口腔共鳴腔・鼻腔共鳴腔)を使い分けることが大切なのでしょうか?」

會田茂樹「はい、その通りです。声楽やオペラ、J-POP、ロック、和唄(歌舞伎・能・民謡・吟詠など)、ナレーションやアナウンス、朗読、アフレコ、異性声、ボイスパーカッションなど、1つまたは複数の共鳴腔を使って音色や響きを作り上げます。例えになりますが、共鳴腔の使い方で“楽器が変わる”と言っても過言ではありません!」

甘利先生「ありがとうございました」

會田茂樹「こちらこそありがとうございます。甘利先生のおかげで、徐々にGIDの方々の声の悩みが解消できています。単なる超高音域を求めるのではなく、女性らしい声質(人間らしさ)を希求することで、本当の意味での女性の声を習得すべきと記した論文は、多くの方々から支持を得ています。さらなるご活躍を心よりお祈りいたします。※喉辞典「目次 さ行2 性同一性障害」参照※」

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by aida-voice | 2015-05-18 15:36