声の短問短答【続編】328


「なぜ、首のストレッチングをしても、発声の筋肉のストレッチングにはならないの?」

根本的な話になりますが、首を支えたり動かしたりする筋肉(僧帽筋や胸鎖乳突筋など)は、発声に直瀬関与していません。
首を傾けたら、無自覚にピッチが変わってしまう、なんてあり得ませんよね。
もし、このような状態ならば、ミュージカルやオペラは成り立ちません。
ロック歌手も、音が変わらないよう、直立不動で歌わなければならなくなりますよ。
したがって、首のストレッチングをしても、発声の筋肉のストレッチングになりません。
ただし、多少の影響はあります。
それは、喉頭が中空に存在している状況を考えればたやすい。
首の筋肉が硬くなると、喉頭の動く範囲が狭まる可能性が生じます。
したがって、毎日、首まわりのストレッチングは推奨します。
ぐるぐる回したり、手を使って伸ばしたり、一日一分でもOK。
そう、喉は浮いている。
この事実によって、あなたは素晴らしい声の音色や響きが作り出せるのです!

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追記:舌骨がヒトの骨の中で、唯一、他の骨とつながっていない。つまり中空に浮いている。このことからも喉頭はレアな存在である様子がうかがえます。ちなみに、喉頭は、左右の茎突咽頭筋と茎突舌骨筋(並走する茎突舌骨靭帯を含む)の計4本で吊り下げられています。茎突咽頭筋の触知探査はある程度容易ですが、茎突舌骨筋は顎二腹筋下に潜り込んでいるため、探し出すには相当の”技”が必要です。したがって、喉を引き下げる歌唱法を強制して茎突舌骨筋または茎突舌骨靭帯を負傷した場合、受傷部位の特定も加療も困難になることがおわかりになるでしょう・・・

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右舌骨小角付近の茎突舌骨筋を探り出しているところ






~重要なお知らせ~ ●外喉頭から考究する発声の理論と技術は日々進化しています。この記事は掲載時の情報であり、閲覧時点において最新・正確・最良でない可能性があります。すべての記事の内容に関し、一切の責務を負いません。●記事の内容は万人に適合するものではないため、当サロンの施術に関し、記事の内容通りの効果や結果は保証も確約もしておりません。〔当サロンでは役立てないと判断された場合、理由を問わず施術をお断りします〕●声や喉の不調は、最初に専門医の診察を受けてください。歌唱のトラブルは、最初にボイストレーナー(音楽教師)にご相談ください。





by aida-voice | 2015-03-17 12:03