2015年 03月 13日
声の短問短答【続編】326
「喉筋がケガすると声が出し辛いのはなぜ?」
それは、発声関与筋が損傷を受けると、痛み(違和感を含む)をかばうため、不正な発声運動 ⇒ 疼痛逃避発声を行なうからです。
例えてみましょう。
スポーツで右膝を負傷した場合、右脚に体重を掛けると痛むため、左脚に荷重をかけて動かしたり歩行したりします。
すると、左脚の各パーツに負担が増加し、最終的に、動かしにくくなったり歩行しにくくなったりします。
これと同じ原理。
曖昧な動きで補完しあうため、おもむろに発声力が低下することは稀ですが、外喉頭筋の負傷(肉離れや筋膜断裂など)によって、間違いなく声は出し辛くなりますね。
喉筋の打撲や捻挫はもちろん、過度の発声や長時間の練習で発声関与筋を損傷する症例も報告されています。
そう、発声は一種のスポーツ〔筋運動〕です。
十分ご注意ください!
追記1:残念ながら外傷を得た場合、当サロンでは患部の安静を確保し、治癒能力を高めるため、各種施療はもちろん、喉頭専用カラー、発声筋対応弾性テーピング、ボイス冷シップなどの衛生材料を用いて処置しております。これこそ本当のボイスケアですね。
追記2:喉の筋肉の損傷で、どこが一番やっかいだと思いますか? 甲乙つけがたいのですが、茎突咽頭筋と輪状甲状筋です。茎突咽頭筋が痛むと、喉頭を吊り下げる能力が低下して咽頭共鳴腔の構成が大変になり、音色が損なわれたり響きが失われたりします。輪状甲状筋が負傷すると、ご存じの通り、高音が出なくなったり音程のコントロール性能が低下したりします。
追記3:外喉頭筋損傷後の慢性疼痛にもご注意くださいね。発声関与筋は小さな筋群の集合体ゆえ、痛みを限定することが難しく、レントゲンやMRIにも写らないため、診断が容易ではありません。知らずに放置すると、慢性化し、快癒がどんどん遅れます。2年以上経過して来院された方も多くいます。実際、違和感はあったが痛くないため放っておいたケースが主。精密検査で外傷の痕跡(軽微な内出血後の瘢痕や癒着)が発覚するのです・・・
~重要なお知らせ~ ●外喉頭から考究する発声の理論と技術は日々進化しています。この記事は掲載時の情報であり、閲覧時点において最新・正確・最良でない可能性があります。すべての記事の内容に関し、一切の責務を負いません。●記事の内容は万人に適合するものではないため、当サロンの施術に関し、記事の内容通りの効果や結果は保証も確約もしておりません。〔当サロンでは役立てないと判断された場合、理由を問わず施術をお断りします〕●声や喉の不調は、最初に専門医の診察を受けてください。歌唱のトラブルは、最初にボイストレーナー(音楽教師)にご相談ください。
by aida-voice
| 2015-03-13 21:54