声の短問短答【続編】262


「輪状甲状関節包をほぐすと高音が良く出るって聞いたんですが・・・」

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まず、輪状甲状関節に関する話題から。
関節とは、骨と骨が連結する部分を示す言葉です。
そう、骨と骨。
輪状軟骨と甲状軟骨とで形成される輪状甲状関節は、軟骨と軟骨。
軟骨は結合組織に属し、筋肉や神経と同じ分類。
骨ではないのです。
したがって輪状甲状関節を真の関節とみなすことができません。
次に関節包ですが、骨膜から連続して関節を包み込む2層の膜様組織。
滑液を分泌して関節運動をスムーズにします。
さて、2009年4月20日の記事「輪状甲状関節の関節包」でお伝えしましたが、摘出喉頭触知研究(解剖は医師)で繰り返し検証したところ、輪状甲状関節上に薄い膜があり、3方向に分布することを突き止めたのです。
その後の考察で「骨で形成されないダブルアクションのジョイントゆえ、真の関節包ではなく、保護膜のような存在ではないか」との結論に至っていますが、簡易に表現するために現在でもわたしは関節包と言っています。
正しい医学の世界では、輪状甲状関節は関節ではありません。
正確に述べれば、輪状甲状関節包は関節包ではありません。
これらをご承知の上、関節包を語ってくださいね。
最後に、質問者のおっしゃる内容は正しい可能性が大です。
この3方向の関節包(膜)が硬くなると、輪状甲状関節の動きは悪くなります。
よって、輪状甲状関節モビリゼーションを用いてほぐすことで、輪状甲状関節の動きが良くなり、声を張ったり高音が出しやすくなったりすることが判明しています。

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by aida-voice | 2014-08-03 00:05