声の短問短答【続編】244


「首をグルグル動かしたり伸ばしたりしたら声の筋肉のストレッチングになりますか?」

これは、よく問われます。
習っている歌の先生から「首をストレッチすれば、声帯もストレッチできますよ」と聞いたことがあるかもしれませんが、実際、これは間違いですね。
首を回したり動かしたりしただけでは、残念ながら、発声関与筋のダイレクトなストレッチにはなりません。
なぜなら、首を動かす筋肉と発声を司る筋肉はつながっていないから。
もし、連動していたら、首を動かすだけで音程やリズムが変わることになります。
これでは、踊りながらのミュージカルや、演技しながらのオペラは不可能になります。
ほんの少しでも動けば、勝手に音が変化してしまう。
直立不動の歌唱しかできなくなってしまいますよね。
ロック歌手も微動だにせず棒立ちで歌う。
想像しただけでも笑いが止まりません。
じゃあ、首周りのストレッチはやらなくて良いのか!?
ちょっと待ってください。
ご存じのように喉頭は、主に4本の軟部組織で、吊り下げられています。
茎突咽頭筋と茎突舌骨筋(並走する茎突舌骨靭帯あり)で、これを懸垂機構と呼んでいます。
そう、喉頭は中空に浮いています。
浮いているからこそ、自由に動き、頚椎との間で共鳴腔を構成し、良い音声を作り出せるのです。
したがって、この空間が大事!
この動くのりしろを大きくするために、首や肩のストレッチは行ってください。
方法は何でも構いません。
ぐるぐる回したり、手を使ってすじを伸ばしたり。
毎日、1分でもいいので、コンスタントに続けること。
首周りのストレッチは、発声に直接かかわるものではありませんが、間接的な効果を考えての大切な行為ですね。
繰り返しますが「首をストレッチすれば、声帯もストレッチできますよ」は嘘です・・・
是非、声の真実を知ってください。

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~重要なお知らせ~ ●外喉頭から考究する発声の理論と技術は日々進化しています。この記事は掲載時の情報であり、閲覧時点において最新・正確・最良でない可能性があります。すべての記事の内容に関し、一切の責務を負いません。●記事の内容は万人に適合するものではないため、当サロンの施術に関し、記事の内容通りの効果や結果は保証も確約もしておりません。〔当サロンでは役立てないと判断された場合、理由を問わず施術をお断りします〕●声や喉の不調は、最初に専門医の診察を受けてください。歌唱のトラブルは、最初にボイストレーナー(音楽教師)にご相談ください。





by aida-voice | 2014-06-18 22:30