2019年 02月 07日
甲状腺手術後の軟部組織癒着の剥がし方【過去記事再掲載】
甲状腺摘出手術を行うと、フラップマッスルとしての胸骨舌骨筋、肩甲舌骨筋前腹、胸骨甲状筋、そして、甲状腺下の輪状甲状筋を切ったり廓清したりします。
手術による出血で瘢痕が形成され、それらの筋肉と筋膜、さらには皮膚とが癒着を起こします。
ここで思い出していただきたいのは、発声は外喉頭筋の運動であること。
甲状腺の手術によって瘢痕や癒着が生じ、発声が阻害されます。
どの程度?
反回神経が温存されていれば、日常生活に困るほどの障害はありません。
首回りが突っ張ったり、声がかすれたり、大きな声が出し難かったり、カラオケが歌いにくかったり・・・、この程度。
しかし、声を仕事にしている歌手、アナウンサー、声優、俳優、学校の先生などは一大事の出来事となります。
手術後、甲状腺の先生は声でなく命を最優先に考えていますから「この手術は大成功ですよ。命が助かって本当に良かったですね」と声には無関心。
また、声の出し辛さを訴え、耳鼻科を紹介され受診しても、「声は出ていますよ。反回神経も大丈夫。徐々に良くなりますから問題ありません」と言われるケースがほとんど。
そう、医学的には日常生活に支障が少なければ、このレベルは病気や障害ではない。
けれども、前述の声を大事にしている方々にとっては大問題!
いいえ、生きて行けるかどうかの死活問題なのです。
ここで、当サロンの甲状腺手術後の瘢痕・癒着の除去方法をお伝えします。
甲状腺手術後、出来るだけ早くお越しください。
術後3か月が理想。
術後一年を経過すると、瘢痕は固まり、癒着は容易に剥がせなくなります。
何をするのか?
①會田の手指で瘢痕部を探し出して丁寧に少しずつ剥がす
②喉頭専用の物療で血流を増加させ瘢痕に新生毛細血管を作り出して消滅させる
この二点が主な作戦。
これまで400人以上の甲状腺手術後の瘢痕・癒着による声のトラブルに対処してきました。
かなり多くの方が満足いく結果を得ています。
いいえ、手術する前より声が良くなった事例もたくさんあります。
なぜなら、瘢痕・癒着を改善すると同時に、そのひとの声そのものを良くする施術も同時に行っているからです。
ご期待ください。
追記1:手術後の癒着が広範囲かつ重篤なとき、形成外科による剥離手術を受けることがあります。残念ながら、このケースで思い通りに癒着が快癒した例を知りません。それは、再び手術することで多少なりとも出血し、結局、新たな癒着が生じるから・・・
追記2:甲状腺の手術は、可能な限り、手術の腕と実績がある医師にお願いしてください。さらに声を考えた場合、①反回神経の温存、②輪状甲状筋の非廓清、③フラップマッスルの最小限損傷を懇願すべきです。数年前、甲状腺専門の伊藤病院で甲状腺専門医の皆さまの前で講演した際、声や外喉頭筋に無頓着な様子に驚きを禁じ得ませんでした。しかし、伊藤公一先生は医師としての技術も人格も優秀です。昔、恐れ多いとは思いましたが、錐体葉の触診に関する疑問があったため、手紙をしたため甲状腺専門病院数カ所に教えを乞いましたが、お返事をいただいたのは伊藤病院の伊藤公一先生だけでした・・・
※2014年1月掲載の記事
~重要なお知らせ~ ●外喉頭から考究する発声の理論と技術は日々進化しています。この記事は掲載時の情報であり、閲覧時点において最新・正確・最良でない可能性があります。すべての記事の内容に関し、一切の責務を負いません。●記事の内容は万人に適合するものではないため、当サロンの施術に関し、記事の内容通りの効果や結果は保証も確約もしておりません。〔当サロンでは役立てないと判断された場合、理由を問わず施術をお断りします〕●声や喉の不調は、最初に専門医の診察を受けてください。歌唱のトラブルは、最初にボイストレーナー(音楽教師)にご相談ください。
by aida-voice
| 2019-02-07 10:01