ハイラリンクスの弊害とは?【過去記事再掲載】





来院者から次のような質問をいただきます。
それも頻繁に。
「(習っている)先生から、『あなたはハイラリンクスになっているから直しなさい』と言われます。なぜ、ダメなんでしょうか?」と。
今回のお題はハイラリンクスの弊害。
まず、ハイラリンクスとは読んで字の如く“高い喉頭”、つまり、のどの位置が高いことですね。
発声時、とくにハイトーンボイス(高音)やシャウトボイス(大声)のとき、無自覚で喉頭をグッと上げてしまう行為。
まずは、使用筋肉から。
三つあります。
顎二腹筋、顎舌骨筋、甲状舌骨筋。
これらが作動すると、喉頭が挙上し、喉頭蓋が喉頭口にふたをします。
つまり、声道を密閉して呼気を遮断してしまう。
これでは声が出難くなるのです。
さらに顎二腹筋後腹のベクトルによって喉頭の位置が深奥化します。
これは一過性の喉頭深奥ポジションと言っても過言ではありません。
そう、良声に大切な咽頭共鳴腔をつぶす行為となるのです。
まとめましょう。
ハイラリンクスによって起こるのは・・・
1:喉頭蓋のふたが閉まって声道が遮断される
2:咽頭共鳴腔が狭くなって音色や響きが損なわれる
では、なぜハイラリンクスになってしまうのか?
1:高音発声や大声発声に対する恐怖
2:過大な動きで軟部組織が損傷しないよう防衛反応の一つ
3:力む癖をつけてしまった
あなたの先生は正しい指導をしているのです。




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矢状断面図 〔じっくり観察しましょう〕




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ハイラリンクスの模式絵





追記1:歌唱表現やパフォーマンスの一つとしてハイラリンクス発声を行うことは問題ありません。懸命に歌っているのが聴き手に伝わります。ただし、喉頭の柔軟性と運動性を有するエリートボイスユーザーに限られますが・・・



追記2:喉頭蓋(こうとうがい)の“蓋”の訓読みは“ふた”なのです!





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by aida-voice | 2017-02-22 06:54