声の短問短答【続編】60


「首が太いと声が良いって本当ですか?」

ある意味、正しいかもしれません。
首が太いということは、頚椎も太いことになりますよね。
椎体(棘突起と横突起を除いた部分)の直径と、甲状軟骨や舌骨の横径は、比例傾向にあります。
ただし、個人差もあり、椎体幅より格段に大きな喉頭のひともいれば、思わず絶句してしまうほど小さいひともいます。
すべて個性。
背が高くても顔の小さなひともいれば、身長が低いのに大きな足のひともいます。
この方々を異常とか奇形などとは言いませんよね。
これと同じ。
さて、甲状軟骨や舌骨が大きくなると、声道に属す各共鳴腔も大きくなると予想されます。(下絵黄色楕円参照)
声の音色が共鳴腔で構築される話は何度もしました。
したがって『首が太い=声が良い』の式は成り立ちます。
しかし、ヒトの人体構造の中で喉の作りや動きはかなり曖昧で適当でいい加減。
声帯や周辺の軟部組織を動かしている感覚もなければ、どう動いているのかも知り得ない。
発声に関する器質的および機能的な個体差も大きい。
やはり、わたしの答えとしては「ある意味、正しいかもしれません…」となります。

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追記1:顔が大きいと歌がうまい、えらが張っていると声が良いも、同じようなものですね。咽頭共鳴腔や口腔共鳴腔が大きくなり、音色が豊かになる可能性が広がるから。ただし、歌唱力には一切関与しませんからね。また、共鳴腔の生得的形状でおおよその音色が決まってきます。これゆえ親兄弟で顔の形が似ていると、声も似てくるのです。同じ弦楽器でもギターとバラライカでは微妙に異なります。これも共鳴構音する胴空間の違い。




追記2:この首の太さと声の良さが合致する歌手としては、ルチアーノ・パヴァロッティや西川貴教さんがあてはまりますね。




追記3:なお、筋トレなどで僧帽筋や胸鎖乳突筋が鍛えられて首が太くなった場合は除きます。あくまで生得的で、身長や体つきから比べた判断によります。





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by aida-voice | 2013-03-27 00:50