2012年 09月 27日
声の短問短答【続編】11
「地声と裏声の判別方法は?」
二通りあります。
一つは、医学的考察による声帯ヒダの振動部位による分け方。
地声は声帯筋と声帯粘膜が共に振動している状態。
裏声は声帯筋は振動を止め声帯粘膜のみ振動している状態。
声帯筋が振動しない条件は、ⅰ輪状甲状筋によって輪状甲状関節が屈曲して声帯ヒダのTensionを高めた場合、ⅱ内筋を使って声帯筋を固めた場合、ⅲ生まれつき声帯筋の筋肉が硬いひと、が挙げられるでしょう。
もう一つは聞こえからの判断。
これは各人の経験則に基づき、耳で聞いた感覚で判断します。
指導者が「これは地声だ」と感じたら地声、先生に「この音は裏声ですよ」と言われたら裏声。
さて、どちらの判断の仕方が正しいのか?
実は、共に漠然とした判断であり、正解・不正解はないと思います。
これまで多くの医師やボイストレーナーと地声と裏声の峻別実験をしましたが、意見に近似は得るものの、細部はどれも十人十色。
実験内容
①喉頭ファイバーで発声時の様態を録画し、画像だけで地声と裏声を判断する。
②各種録音した声を聞き、それぞれの音声が地声か裏声かを評価する。
地声を辞書で調べると・・・
1 その人が生まれつき持っている声。持ち前の声。「―が大きい」
2 音楽で、裏声に対して、自然な発声法で出す声。
裏声は・・・
1 自然な発声法では出せない高音部を、技巧的に発声する声。ファルセット。
【デジタル大辞泉より】
やはり具体的な表現ではありませんね。
「これこれこうだから地声、逆にこのときが裏声」と言った、誰にでも当てはまる確定的なものではなさそう。
多くの声を知るにしたがい思いが強くなるのですが、『声』って不思議ですね。
下は、ファイバー検査〔医師の協力〕による声帯ヒダの静止写真を絵に変えたものです。
同じ日時、同じ条件、同じ人物〔著明なボイストレーナー〕の地声と裏声の発声の様子。
どちらが地声でどちらが裏声か、あなたはわかりますか?
正解は、ボイスケアサロンの防音室内(施術後)でお尋ねください。
声の短問短答【続編】の詳解
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by aida-voice
| 2012-09-27 08:14