声の短問短答【続編】5


「発声って本当に運動なの?」

おっしゃる通りです。
喉の中にアンプやスピーカーなど機械は入っていません。
筋肉と粘膜から構成される声帯が振動して原音を作り出し、声道にある共鳴空間(軟部組織から成る主に5つの共鳴腔)で響きや音色を決定していきます。
そして、声帯は自己で動くのではなく、周囲の筋肉(外喉頭筋や内筋)および呼気で動かされます。
なお、呼気も呼吸運動の一環ですから、これも運動と言えますよね。
ここで運動に不可欠である筋肉の特性に関して、ちょっと知ってください。

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そう、筋肉はゆるむからこそ、ちぢむことができます。
ちぢむときに動きやパワーが生まれてくるのです。
これらからも、声は運動の産物であることがわかりますね。



追記:当サロンの目的を再確認してください。実は、いまだに「歌がうまくならなかった」「オーディションに落ちた」「病気が治らなかった」と不満を訴える方々がごく少数いらっしゃいます。さらに、評価を超えて誹謗中傷まで発展させ、ブログや投稿サイトにも書かれているケースもあります。知っていただきたいのは、当サロンの目標は、歌そのものをうまくしたり病気を治したりするものではないことです。発声を運動と捉え、その基礎能力を高めるのが役目。また、外喉頭からの発声医科学はまだまだ発展の途中で、研究しなければならない部分が一杯。わたし自身、不眠不休で研鑽しておりますが、その方の求める目標に達しなかったのは、わたしの力不足だったかもしれません。この点は、誠に申し訳なく感じております。もっともっとがんばらなければと思います。しかし、残念ですが、わたしには時間と資金が足りません。日々の朝から晩までの施術、喉ニュースの記事作成、そして一人ぼっちで未踏分野の長期研究・・・。24時間、365日は少な過ぎます。公的な組織や大病院なら、人(アシスタント)や物(高額な検査機器)が、つまりそれらを得る資金が潤沢にあります。うらやましい限りですね。以前、宇宙ステーションの無重力や航空機落下による低重力の環境下で、歌唱のための呼吸実験したい旨を書きました。これを完遂するには莫大な費用(億単位の金額)が必要になります。そのため、テンピュールマットレスと水中での実験に振り替え、現在、果敢にトライしている最中です。なお、この呼吸を計測するための精密機器(外皮から呼吸筋の動きを捉える計器と、その情報をビジュアル&データ化する特殊なソフト)の製作費を問い合わせたところ、一千万円以上かかりそうなのです。そんな大金は持ち合わせていません・・・。スミマセン、何だか弱音を述べながら、どんどん主題〔当サロンの目的を再確認〕から外れていますね。繰り返します。当サロンの目的は、発声の基礎的運動能力向上です。スポーツに例えるなら、走ったり飛んだりする能力をアップさせるもので、野球のバッティングやテニスのサーブを上達させることではありません。発声は運動です。発声の基礎的運動能力が上がれば、歌のジャンルに関係なく歌唱力も増す可能性が高くなります。発声の基礎的運動能力が上がれば、難治の機能性発声障害も乗り越えられる可能性が高くなります。発声テクニックや歌の練習は音楽教師やボイストレーナーに、喉の病気や声の不調は医師や言語聴覚士にご相談ください。


声の短問短答【続編】の詳解
by aida-voice | 2012-09-16 08:50