早期発見で良かった!《触診と甲状腺》【過去記事再掲載】




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以前、新規でお越しになった方(S氏)から、その後の経過報告と御礼のお言葉をいただきました。

当サロンでの会話内容は以下です。
S氏:「よろしくお願いします」
會田:「こんにちは、それでは症状や困り事を教えてください」
S氏:「1年くらい前から、声がかすれてきました。日常生活に困るほどではありません。音声専門の耳鼻咽喉科で診てもらっても、声帯には異常ないと言われました。趣味でカラオケをよく歌いますが、高音が割れたりガラガラしたりします。最近では、大きな声も出難くなった気がします。喉がどうなっているのか診てください」
會田:「はい、承知しました。まず、Sさんのお声ですが、声の状態からすると、中音域から高音にかけて息漏れしていますね」
S氏:「えっ、声を聞いただけでわかるのですね」
會田:「ええ、本当の多くの声を聞いてきましたから、声の様子はもちろん、瞬時に声帯や外喉頭の筋肉の動きが想像できますね」
S氏:「すごいですね~」
會田:「いえいえ、決してすごいことではありません。鍛錬のたまものです。次に、視診でわかることなのですが、頚部筋三角右前面中央が小さく腫れています」
S氏:「腫れ?」
會田:「はい、そうです。後ほどの触診やビデオ検査で詳しくわかると思います。それと、右肩甲舌骨筋の浮き上がりが過剰ですね。この筋肉は舌骨を押し下げ、嚥下と発声の最終相を担っています。つまり、この筋肉の作用とベクトル方向を考えれば、強く使い過ぎると、喉頭が奥下に追いやられ、発声がしにくくなってしまいます。さらに、喉頭深奥ポジションを呈し、披裂軟骨の小角先端が頚椎よりの圧を受け、声門が開きやすくなります。つまり、そこから息が流れ出して《かすれ声》となります」
S氏:「なるほど。それにしても、声を聞き、喉を見ただけで、ここまでわかるのですね」
會田:「声は繊細です。同様に、喉頭も、人間の筋組織の中では、かなり細かく繊細な部類に属します。今日、Sさんとお会いし、会話のときはお顔を見ていますが、それ以外は、喉ばかりジロジロ見ているのをお気づきでしょう。ここまでじっくり見ます。特徴、変化、異変を見逃しません」
S氏:「安心できました」
會田:「次は、当サロンの喉頭医学の真骨頂である《触知検査》です。指先からもらう情報は、耳や目より鮮烈で多量なのです。さあ、触れさせてください」
S氏:「お願いします」
~丁寧な触知検査~
會田:「続いて、ビデオ検査、音声オシロスコープ検査、上喉頭動脈エコーをしていただきます」
~各種検査~
~結果考察~
會田:「それでは、検査の結果をお伝えしますね。ビデオ検査で発声時過収縮中程度、音声オシロスコープで声の硬さと過緊張性発声、上喉頭動脈エコーの値が2.5㎝/s以下と若干の血流不足が認められました。これらの状態は、どれも異常というほどではなく、筋肉や発声の癖(くせ)と考えて良いと思います。可能なら、当サロンのアプローチで改善すれば、かなり声が良くなるでしょう」
S氏:「おぉ、それはステキですね」
會田:「次に、触知検査の結果です。実は、先ほどお伝えした腫れです。頚部筋三角右前面中央、正確には喉頭隆起から下26㎜外側14㎜に、直径6㎜程度の腫瘤を探知しました。甲状腺の病気の可能性が高いので、できるだけ早く、信頼できる甲状腺専門医にかかってください」
S氏:「それって、甲状腺の病気とかですか?」
會田:「残念ながら、ここでは、存在物が何であるのか、わからないのです。すみません」
S氏:「そうですか…」
會田:「Sさんがお困りの嗄声(させい)ですが、この腫瘤が上喉頭神経外枝を圧迫し、輪状甲状筋の動きを制限していると予想されます」
S氏:「と言うことは、甲状腺を治せば、かすれ声は無くなるのですか?」
會田:「絶対ではありませんが、その可能性が高いと思います。実は、わたしも甲状腺に腫瘍があり、現在は年2回の経過観察なのですが、ときどき当該神経加圧傾向によって、声がかすれることがあります」
S氏:「そうなんですか。會田先生もお大事にしてください」
會田:「ありがとうございます。触診によるSさんの腫瘤の硬度が気になりますので、早々に病院へ行ってください」
S氏:「了解しました」
會田:「何ともないことを祈っています」
S氏:「今日は、ありがとうございました。會田先生に診てもらい、本当に安心しました。結果がわかったら、報告させていただいても良いですか?」
會田:「もちろんですよ。お大事になさってください」

それから数か月後、Sさんから連絡がありました。
S氏:「會田先生、その節は大変お世話になりました。あのあと、すぐに病院へ行って検査したら、甲状腺癌でした。それほど進行していなかったので、右葉だけの手術で完全に取り除くができ、もう大丈夫だそうです。その癌なのですが、會田先生が指摘した場所にありました。まさにドンピシャでした。本当にすごいですね。會田先生に声だけでなく、命を助けられました。心から感謝です」
會田:「良かったですね。かすれ声や高音発声は、いかがですか?」
S氏:「これも、會田先生がおっしゃった通り、手術後はピタッと止まりました。ただ、皮膚がつっぱって声が出しにくいのはありますが…」
會田:「そうですね、それは皮膚と筋膜と筋肉の瘢痕・癒着だと思います。発声関与筋に影響を与えていますね」
S氏:「これは、ボイスケアサロンで改善できますか?」
會田:「はい、Sさんと同様の方が多く来ています。各種専用機器の使用、ならびに、細密な手技で癒着を少しずつ取り除き、ピンポイントマイクロストレッチで瘢痕に新生毛細血管を促します」
S氏:「じゃあ、また楽しく歌えるようになるのですね?」
會田:「はい、その通りです」
S氏:「よろしくお願いします」
會田:「承知しました。素晴らしい声に仕上げるよう最善を尽くします!」




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喉と声のスポーツトレーニング&リラクゼーション
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 會田茂樹|あいだしげき





~重要なお知らせ~ ●外喉頭から考究する発声の理論と技術は日々進化しています。この記事は掲載時の情報であり、閲覧時点において最新・正確・最良でない可能性があります。すべての記事の内容に関し、一切の責務を負いません。●記事の内容は万人に適合するものではないため、当サロンの施術に関し、記事の内容通りの効果や結果は保証も確約もしておりません。〔当サロンでは役立てないと判断された場合、理由を問わず施術をお断りします〕●声や喉の不調は、最初に専門医の診察を受けてください。歌唱のトラブルは、最初にボイストレーナー(音楽教師)にご相談ください。




 
by aida-voice | 2016-04-15 00:45