2012年 03月 05日
地声と裏声の真実
あなたも、「あ~」(地声のつもり)、「ア~」(裏声のつもり)、と声の質を変えることができるはず。
喉の中では何が起こっているのでしょう。
今日は、このあたりを解説します。
まず、声の元である音源は、“声帯”が振動して作られることは周知の事実。
その声帯は、声帯筋と声帯粘膜から成ります。(詳しくは、さらに3~5層にわけられますが、ここでは割愛します)
つまり、筋肉と粘膜。
筋肉はご存じの通り。
運動として、縮む作用があります。
ただし筋肉は、伸びる作用は自身では行えず、拮抗筋による他動的な運動となります。
また、声帯筋は、声帯を動かすために存在するというより、振動して音を作り出すためだけにあるように思います。
実際、声帯は、多少縮む作用はありますが、自分で伸びたり声門を広げたり閉じたりする作用は有していません。
次に、粘膜は、例を挙げるなら、唇〔くちびる〕内側の薄い膜のようなもの。
これは、水分含有率が高く、粘膜そのものは自身で動くことができません。
そして特記すべきことは、思ったよりも小さいこと。
摘出喉頭(解剖研究)で、老若男女数々の声帯を触診してきましたが、甲状軟骨の大きさと比べ声帯が小さいことに毎回驚きを禁じ得ません。
まだまだ声帯に関してお話ししたいことがたくさんありますが、これくらいにして地声と裏声に戻りましょう。
一言で述べれば 『地声は声帯筋と声帯粘膜の両方の振動によるもので、裏声は声帯粘膜だけの振動である』 となります。
声帯筋には運動能力と質量がありますが、声帯粘膜は自己運動はせず薄く軽いことが、地声と裏声の音質的特徴となっていると考えます。
一歩踏み込むと、声帯筋と声帯粘膜の振動部位の変化でミックスボイスが誕生することもわかっています。
もっと伝えたいことが多くあります。
模型を使い作画を交え、詳しく解説すると、声帯だけでも1時間ほどかかりますね。
この4月に、ある音楽教室で講義をします。
声帯についてお話しする予定です。
受講者の方はご期待くださいませ。
追記:「地声」「裏声」って誰が命名したんでしょうね。それぞれの音の有する雰囲気からでしょうか。「筋肉声」「粘膜声」の方が言い得て妙かも・・・。ただし、音のイメージは伝わりにくいですかね(苦笑)
by aida-voice
| 2012-03-05 11:14