風邪をひいてもファルセットは歌いやすいのは本当ですか?


素晴らしい喉頭の運動性能を持つ
ステキな歌手:佐々木姫子さんから質問をいただきました。

「風邪をひいてもファルセットは歌いやすいのは本当ですか?」

この質問を受け「おぉ、とても要点をつかんだ良い問いだ!」と
誠に感心しました。

答えは、Yesです。

ファルセットは声帯の薄い粘膜の振動を主としています。

地声は声帯筋と声帯粘膜の両方を振動させています。

これらは周知の事実。

さて、風邪をひくと、声帯は炎症を起こして腫れます。

皆さんも、耳鼻咽喉科のファイバー検査で
真っ赤な内喉頭を見せられたことがあると思います。

充血ですね。

充血とは、毛細血管〔動脈〕の血管が拡脹し
多くの血液が集まっている状態のことです。

この充血がキーポイント。

声帯が腫れてしまい、質量(重さ)が増すため低音化します。

振動能率も下がって、歌唱のコントロールが難しくなります。

また、周辺血管が圧を受けて血流が少なくなり
分泌液が減少して喉の乾燥が始まります。

それに伴い分泌液の粘稠度(ねばりが増して濃いこと)も
増して、痰もからまりやすくなります。

もう一つ。

声帯のむくみによって、声門(二枚の声帯の間隙)が開き
息漏れします。《嗄声と表現しても可》

そう、風邪のときの特徴である『ガラガラ声』ですよ。

もう歌どころではありません。

けれども、ファルセットなら何とか歌える。

なぜ?

それは、粘膜には毛細血管がない(または少ない)ため
充血の影響を受けにくからだと考えています。

したがって、風邪をひいてもファルセットは歌いやすいのは本当です。

もちろん、風邪をひいていないときと比べれば
音色や音楽性が良くないのは当然ですが・・・

風邪はひかないこと。

風邪をひいたら、一日も早く治すこと。

咽頭内部が腫れあがるわけですから、楽器演奏者で例えるなら
ピアニストやギタリストが自分の愛器に水をぶっかけるようなもの。

楽器の木製部分が水を吸って、大変なことになります。

風邪をひくって、そのくらい危険なことなのです。

歌手にとっては!


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~メッセージ~
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by aida-voice | 2011-10-28 07:10