フィジカルに対する考察  中鉢幸樹先生


中鉢幸樹先生(ボイスアドバイザー)から論文が届きました。
ここに供覧します。〔一切手を加えず原文そのままです〕
中鉢先生は発声学の知識と実績の豊富な先生です。
ますますの活躍を確信しております。
論文提供ありがとうございました。







フィジカルに対する考察



純粋にフィジカル(発声能力)が優れている人は、表現力という点から見ても得をしていると思います。

ステージ全体に響き渡るように声で歌いたい!

思いを全てこの台詞に凝縮して観客の皆に伝えたい!このような気持ちがあっても、声が自分のイメージのラインにそったものでなければ、全てを表現しきれないでしょう。

それに近づけようとするあまり、喉の筋肉を締め付けるような発声で、硬質な音を出している人も沢山います。

ここで1番大事なことは、声には無駄な力は全く必要ないということです。

今まで喉周りの筋肉を上手く使えなかった人の想像以上に、必要な部分がピンポイントに稼動するだけで、爆発的な声のエネルギーが出ます!

無駄なパワーを必要としないということは、言い換えればスタミナも長続きするし、その為余裕が出てきますので、作品の世界を表現することだけに集中出来るのではないでしょうか。

そして何より自然体でいられて本来の自分の力が出せる確率もグンと上がると思います。

何事もそうですが、頑張ることは大変に素晴らしい行為です。

しかし時に、一生懸命過ぎてしまうと(必死に無理矢理発声をしたり等)、見ている人が安心しにくいことが多いのも事実です。

リラックスをして表現している時は、その人本来の魅力を感じやすくなる時だと思います。

また、やはり単純な理由で、声が自由自在に出るというそれだけで、人生が楽しいのではないでしょうか!楽しめているということは、その楽しさを人に届けることも可能であり、声が出るそれだけで幸せが一つその人の中に存在しているといっても過言ではないのではないでしょうか。



声には無駄な力は一切必要がないことをしっかり理解し、そしてそれを実際に体感してみることがフィジカルを向上させる1番の近道だと思います。

筋肉の緊張がとけてリラックスする度に、それに呼応するかのように声のエネルギーは右肩上がりにどんどん上がっていく…考えてみれば不思議です。

使うものが減っているのに、それに反比例して出るものの質が上がります。

これに納得すると、声が良くなる可能性は高くなると思いますね。



求める声を出すには。

それを出す為に必要な場所の筋肉が適度な力で正常に動く、それが良い声を出す全てです。







追記で

本日施術終わりに會田先生と話したところ、こんなことをおっしゃっていました。

「歌や声、食事、呼吸は相容れないもので、矛盾している。生きる為の第一が呼吸だからその為には甲状軟骨等がへばり付くような状態が良いのだけど、でも望むような声を出したり歌を歌うには甲状軟骨や他の部位が前に出ていなければならない。」

ここで考えました。

人間の細胞は全てが生命維持の為に存在して動いている。

自分と同じ甲状軟骨が奥に入りやすい人は、体全体が生命維持の為にそれが必要だと求めた結果、脳や筋肉をそのようにコントロールしているのだと。

仮定ですが、喘息を患ったことがある人は、喉頭の筋肉が硬い傾向にあるのではないのでしょうか?

それは、喘息になる度、体が呼吸をする為に甲状軟骨を奥に押し込んで、その癖が治らない人が多いからなのだと思います。

病状が快復した後も、脳や体や筋肉がそのことを記憶しているので、生命維持を優先し声を二の次にするような状態を保っているのだと考えられます。

全力で走った後も呼吸の為に一時的にしろ同じ状態になりますね。

ここで再び考えました。

昔から、「声を良くする為には腹式呼吸だ!」と声高に叫ばれてきました。

何故でしょうか?

「腹式呼吸をマスターした結果、声も枯れなくなったし、何より楽に歌や演技が出来るようになったよ♪」よく聞かれる台詞ですが、これにも色々わけがあると思います。

そもそも元々喉頭の筋肉が柔らかかったり、自分の状態を把握出来る先天的なセンスや素質に恵まれていた場合。

しかしそうでなく、元々喉頭の筋肉に変な癖がついていたりしていた人でも、腹式呼吸を含む発声練習をして良くなった例は沢山あるのではないでしょうか。

それは、修練していくうちに体のリミッターが外れたのだと思います。

生命維持の為の呼吸が楽に出来ると体が判断した…体はまずそこの心配をする必要はないという訳です。

その為甲状軟骨や舌骨のポジションが奥である理由がなくなります。

結果として、喉頭がリラックスし、楽に声が出るような状態に自然となると思われます。

これに関する余談ですが、私が声が出なくなったきっかけは、「レントゲンに変な影が写っているから調べてもらった方がいい」と言われ、精神的にかなりまいってしまったことに端を発します(幸いなことに結果は何でもありませんでした)。

トラウマというものがありますが、それは、まともにそれを受けてしまってはあまりの精神的ダメージによりおかしくなるかもしれないことを、体が無意識に回避しようとすることですが、それが声にも当てはまると思います。

声の不調の原因になったことが解決した後も声が快復しないのは、体や脳や筋肉がそのままでいることが良いのだと勘違いしているのではないでしょうか(敢えて勘違いと書きました)

さて、ではどうすれば良いのか?と再び考えました。私なりの答えは、体と脳と筋肉に、

『喉頭が発声に適しているこんな状態でも大丈夫だ!生きていけるよ!!!!』そう、理解してもらうこと(理解という単語が適切かわからないのですが…)

その為に會田先生に施術してもらい、喉周りの筋肉が楽なことを体全体で覚えるのが1番の近道だと自分は考えています。

これだけで終わってはあまりに他人任せというか會田先生任せになってしまいますので(笑)、自助努力としましては、先程から何度も出てきた『呼吸』という存在から自分はアプローチしてみようと思います。



あくまで素人の想像で何処まで正しいのかわかりませんが、やっぱり結局のところ声が出ないと自分は嫌ですね。

逆に出ればハッピーですし♪

もし自分のこの理論が間違っていたとしても、兎に角求める声が出るようになれば良いやって思う勝手な気持ちもあります(笑)

信じていれば必ず良い声が出るなんて迂闊なことは言えません。

でも、自分を含むそう念じている人達にはそうなって欲しいです。

誰かが出来て自分が出来ないなんて悔しいですもん。それを才能やセンスと人は呼ぶのかもしれませんが、そんな今まである一般論はこの際無視したいですね。何故なら自分は、声の可能性は無限大だと信じているから。

それに向かい進んで行こうと思いますので、よろしく御鞭撻御指導と施術をお願い致します。



そう遠くない未来、皆が思うがままに声が出るようになれば最高なんですけどね☆






~メッセージ~
この記事は投稿時の情報・見解・施術法であり、最新・正確・最良でない可能性があります。内容に関し一切の責務を負いません。その旨ご承知いただきお読みください。會田の理論と技術は毎日進化しています。
by aida-voice | 2011-09-26 10:06