2011年 08月 20日
「喉の力を抜きなさい」って本当にできるの?
以前、日本人の喉は硬い(筋肉の緊張度合いが高い)とお伝えしました。
その率は、10人に8人程度。〔もっと多いとおっしゃる先生もおります〕
結構、多いのに驚きます。
その原因は定かではありませんが、日本語独特の発声も一因かもしれません。
どういうこと???
日本語は、母音、ならびに、子音と母音の組み合わせが主。
一つひとつ分解できる要素があります。
たとえば、『机』。
幼児期、言語を覚えるとき、いきなり漢字で書いたりはしませんよね。
『つ・く・え』とジャポニカ学習帳などに一字一字を書き込みます(微笑)。
そして、音読します。
『つ』『く』『え』と。
このとき、喉では何が起こっているのでしょうか。
発声は運動に似ています。
つまり、動いて休んで、動いて休んで、動いて休んで・・・。
100メートル競争する際、Aコースは100メートルを一気に走る。
Bコースは10メートル毎に、一旦、立ち止まって
再スタートをして100メートルを走りきる。
さあ、どっちが楽でしょう。
どっちが大変でしょうか。
もう、おわかりですよね。
日本語はBコースに近い。
なお、英語などはAコースです。
Desk(机)を発するとき、『De』『s』『k』と三分割して言ったりはしませんよね。
つまり、息の流れがあります。
古来より国語の授業では、「はきはき音読しましょう!」と推奨されます。
そう、過度な『はきはき』が曲者なのです。
喉頭を硬くする癖が身に付きやすくなります。
しかし、声が出ないとか、しゃべられないといったトラブルではないため
決して病気ではなく、単なる癖なのです。
放置しても問題ありません。
ただ、良い声や思い通りの歌声が難しいだけなのです。
だんだん、お話がずれてしまいました。
軌道修正して、「喉の力を抜きなさい」に戻ります。
そう、無意識の状態で喉の力を抜くことができるのは2割ほどで
残り8割のひとにとって簡単ではないでしょう。
これが答え。
あなたは、どっちに属していますか?
Can you relax the larynx?
追記:AさんとBさん、似たような声(音色や音程など)を出しているとしましょう。しかし、同じ音でも、使っている(その音質を作る)場所が異なるケースが多いのです。例えば、ご存じのホイッスルボイス。触診や喉頭ファイバー画像で検証した結果、2種類の出し方があります。D氏は主に声帯を極限まで薄くする粘膜操作によるもので、A氏は咽頭共鳴腔をソプラノリコーダーのように細くしているのです。出し方は違いますが、同じホイッスルボイス。そして、どちらが良い悪いもありません。このような事態がなぜあるのでしょうか? それは、発声する喉の構造と個体差の存在。音声は、二枚の声帯の特徴と、5つの共鳴腔の特徴と、それらの複合的運動行為によって作られるから。やっぱ、声って曖昧で複雑。そのあたりに、ひとを魅了する秘密があるのかも・・・
~メッセージ~
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by aida-voice
| 2011-08-20 12:12