2011年 07月 09日
方言 〔ほうげん〕 で喉の形が変わる?
以前、東北(日本海側)からお越しになった患者さまから質問を受けました。
「方言で喉の形に変化がありますか?」
「えっ、方言ですか・・・。方言で喉の形状に差異が生じるなんて
考えたこともありませんでした。お時間をいただいて研究します。
いつの日か、結果を喉ニュースに発表しますので
しばらくお待ちください」とお答えしました。
長らくお待たせしました。
まず、当サロンにには全国から患者さまがお越しになります。
通院地域円グラフが以下です。
方言は、同じ国の言語であるにもかかわらず、それぞれ地域の
地形・気候・風土・習慣・人種などによって、発音・文法・語句などが
多少変化して定着している言葉ですよね。
「へー、そんな意味なんだ」など発音が似ているけど違う内容であったり
「わー、訛っている」など同じ意味にもかかわらず発音がまるっきり異なったりと
このような状態が存在するのは周知の事実です。
さて、長年、違う方言、つまり、違う発音を繰り返していると
喉の形に変化はでてくるのでしょうか?
地域を大きく、北海道・東北・関東・中部・近畿・中国&四国・九州・沖縄に
分け、各10名の外喉頭周辺予想図をピックアップしました。(喉の病気の方を除く)
A4紙にプリントアウトして、その写真の喉頭の特徴を3つ書き込みました。
主に、甲状軟骨の外皮からの見え方に着目したのです。
そう、80枚もあります。
誠に骨の折れる作業でした。
次に、グループごとに特徴の一致の数を集計します。
その結果・・・
どの地域も突出して特徴が似ているものはありませんでした。
つまり、方言で喉の形が変化することはないと考えられます。
そうですよね、そういえば昔、わたしは『国の違い、すなわち人種によって
喉頭の形状が大きくは変わらない。異なるのは、
躯体(発声を根本としているため胸郭)と喉頭周辺筋の柔軟性である』と
発表しました。
米国メイヨークリニックで、人種の異なるであろう数々の
摘出喉頭(解剖)を実際に観察してきましたが、大きくは違いませんでしたよ。
大きさや甲状軟骨板の角度は、むしろ体格(正確には頚椎体の幅に準ずる)や
個人差が大きく関係してきます。
それゆえ、同じ日本人の方言(発声の違い)だけで、喉頭の形状が
似た特徴を有しながら大きく変わっていくとは考えにくいでしょう。
謹んでご報告申し上げます。
~メッセージ~
この記事は投稿時の情報・見解・施術法であり、最新・正確・最良でない可能性があります。内容に関し一切の責務を負いません。その旨ご承知いただきお読みください。會田の理論と技術は毎日進化しています。
by aida-voice
| 2011-07-09 10:04