エッジボイスを解く


優秀なボイスアドバイザー中川啓太先生との会話です。

中川
「會田先生、歌う前の準備運動の一つとしてエッジボイスが
ありますが、このエッジボイスの本態を教えてください」

會田
「了解です。では、この場でエッジボイスをやってください」

中川
「あ"あ"あ"あ"・・・」

會田
「そうです、そのような音声です。ガラガラ声に近いですよね。
しかし、実は、正式なエッジボイスってわからないのです。
医学用語でもありません。以前、ボイストレーナーの先生方に
エッジボイスを披露してもらったところ、三人三様でした。
音も造音過程も少しずつ異なっていました。
『これが正しいエッジボイスだ』という確定したものはないのでしょうね。
また、エッジボイスの状態を、医師の協力を得て喉頭ファイバーで
確認したことがあります。嚥下反射との戦いゆえ、かなり困難な
実験でしたが、わかったことがあります。二点です。
まず、粘膜振動が主であること。つまり、裏声発声の変形バージョンですね。
次に、声帯筋を膨隆(ぼうりゅう)させていること。
つまり、声帯に厚みがあることですよね」

中川
「やはり、裏声と関連があるのですね」

會田
「おぉ、中川先生は感じ取っていたのですね。素晴らしい」

中川
「エッジボイスと裏声の違いを解説してください」

會田
「それでは絵を描いてみましょう。声帯の断面模式図です。
上が裏声です。下がエッジボイスです。多くを
語らずとも、この絵を見れば一目瞭然ですね。
裏声を、テクニックを除いてシンプルに説明すると
声帯粘膜だけの振動と考えてください。絵では、白色の部分です。
その直下の筋肉の振動を伴っているときを地声と表します。
声帯筋は、感じることはできないのですが、意図的に硬化させて
振動を制限することができます。声帯粘膜はできません。
そう、過度の乾燥や病変が存在しない限り、必ず振動します。
また、この声帯筋の振動率を変化させながら地声と裏声を混ぜることを
ミックスボイスと呼んでいますよね。このミックスボイスも正式な
医学用語にはありません。声帯筋の振動率を変える手法としては
①声帯筋の厚みを変化させる、②声帯筋の振動場所を変化させる
③声帯筋の硬さを変化させる、の3つあり、それぞれ特徴があります。
どのようなミックスボイスの声になるか、そして、その獲得方法などは
講習会でお教えしましょう。さらに、『良い声』『歌がうまい』ひとは
この3つの手法を織り交ぜながら発声していることもわかってきました。
それこそミックス×ミックスボイスですね(笑)
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中川
「そこまで解明したなんて、すごいですね」

會田
「ありがとうございます。三度の食事より喉と声の研究が大好きですから・・・」

中川
「ところで、エッジボイスは効果がありますか?」

會田
「元来、エッジボイスは、歌唱の一部ではなく、発声前の脱力を
目的としていることが多いと思いますから、声帯筋を
弛緩させるには良い方法だと考えます」

中川
「なるほど」

會田
「ちょっと話がそれますが、各種の原因で、声帯筋が
肥厚(ひこう)したり浮腫(むく)んだりして元に戻らない状態で
発声すると、どんな音声になると思いますか?」

中川
「だみ声ですか?」

會田
「正解です。このエッジボイスの声帯の厚みを維持したまま
声帯筋が慢性的に固まってしまうと魚河岸セリ人のような
濁声(だみごえ)になってしまうこともあります。
一部病気の場合もありますが、特定の音域の過使用が原因と思います」

中川
「今日はとても勉強になりました。ありがとうございました」

會田
「中川先生は秀逸な甲状軟骨をお持ちです。さらにご活躍ください」


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追記:乾燥を防ぎ、声帯粘膜の振動率を高めるのがボイスケアサロン声専用キャンディの役目。ただ今、キャンディアプローチとして、通常の半額以下の値段で販売中!!!






~メッセージ~
この記事は投稿時の情報・見解・施術法であり、最新・正確・最良でない可能性があります。内容に関し一切の責務を負いません。その旨ご承知いただきお読みください。會田の理論と技術は毎日進化しています。
by aida-voice | 2011-07-07 11:14