2011年 06月 22日
ピンポイント・マイクロストレッチ
発声能力を高めるためのアプローチとして重要なのが
喉頭クリニカルマッサージと
ピンポイント・マイクロストレッチの二つ。
今回は、ピンポイント・マイクロストレッチのやり方を伝授しましょう。
まず、喉頭周辺の筋肉の特徴を知ってください。
①小さく細かい
②脆弱
③拮抗筋が見当たらないなど曖昧
この3点ですね。
そのため、四肢のように長大な力は絶対に避けなければならないのです。
このことから生まれたのが、喉専用のピンポイント・マイクロストレッチ。
読んで字のごとく、ピンポイントで微小な筋伸展の行為です。
そして様態にも2種類あり、一つは静的ストレッチ、もう一つは動的ストレッチ。
前者は無声時で穏やかに、後者は発声しながら行うダイナミックなストレッチです。
次に、方法。
最も大切なことは『筋肉を正しく探し出す触診技術』です。
そう、触診。
これができなければ、効果は期待できません。
むしろ、他の筋肉を弛緩させたり傷めたりして逆効果の結果さえあります。
「いま、どの筋肉が硬くなっているのか!?」「ミやラの音程を出すには
どの筋の動きが必要か!?」など、的確に判断し、それを見つけ出すのです。
とっても難しいですね。
わたしもアクティブタッチのトレーニングと軟部組織の
触診の実践を20年以上積み上げて、やっと習得しました。
アクティブタッチのトレーニングには、砂粒を大きい順に
並び替えルーペで確認したり、紙の下に置いた髪の毛を
探し出したり(1枚2枚と枚数を増やしていきます)、日々の訓練を行います。
また、解剖で『生』の甲状軟骨や舌骨に付着する筋肉や靭帯を
いくつもいくつも、何度も何度も、繰り返し触って
指先に感覚を叩き込みました。〔米国メイヨークリニック喉頭機能外科教室にて〕
さあ、該当筋を探したら、次は起始停止と
筋腱移行部(存在する場合のみ)を確認しましょう。
静的ストレッチのディテールです。
起始部および停止部から筋腱移行部手前の箇所に指先を置きます。
ゆるく圧をかけながら、繊維に対して直角に数ミリストレッチします。
優しく行ってください。
続いて、筋腹です。
筋腱移行部間の真ん中のあたりに二指を置きます。
適度に圧を加え、筋線維に対して平行にストレッチします。
繰り返し行ってください。
すると、ある瞬間、スッと筋肉が伸びやかに柔らかくなるのが指先に感じます。
過緊張や硬化していた筋肉のすべてを行ったのちの
グライディングテストでは、クリック音はほぼ100%消失します。
なお、ピンポイント・マイクロストレッチの前に
筋膜リリースを行うと、さらに効果的です。
動的ストレッチに関しては、またの機会にお伝えします。
とくに動的ストレッチは、アタランス・トリートメントの
主軸となっており、施術にはなくてはならない存在です。
痙攣性発声障害・音声震顫症・過緊張性発声障害などで
自己回復能力の向上を目指した改善策には打って付けです。
最後に、私感。
ここまで研究して、指先を練磨しても、皮膚が厚かったり
脂肪過多だったりすると求める軟部組織を見つけられないことも多々あります。
また、喉頭の軟部組織には個人差や
破格(先天性奇形ではないが、大きさや長さが左右異なったり
あるべきものがなかったり、逆にあったり…)が多いのも判別を困難にさせます。
まだまだ精進しなければ・・・、と気持ちも新たにした今朝でした(笑)
追伸:喉頭クリニカルマッサージとピンポイント・マイクロストレッチは、會田茂樹が独自に開発し、施術しているものです。とくに、喉頭クリニカルマッサージは、一色信彦先生(京都大学名誉教授および一色クリニック院長)に命名していただきました。
~メッセージ~
この記事は投稿時の情報・見解・施術法であり、最新・正確・最良でない可能性があります。内容に関し一切の責務を負いません。その旨ご承知いただきお読みください。會田の理論と技術は毎日進化しています。
by aida-voice
| 2011-06-22 12:48