2011年 06月 19日
無謀なマッサージに注意
今月は、自分で喉周辺のマッサージをして傷めた方が多くお越しになっています。
本日のひとは、昨冬、ある病院の言語聴覚士の先生から舌骨周辺を念入りに
マッサージするよう指示を受けて実行していたところ、今春、突然に痛みが走り
それ以降、声が出辛くなったそうです。
いろいろな病院で検査をしても「異常ないよ!」「気のせいじゃないの?」
と言われ、最終的に当サロンにたどり着きました。
当サロンでの精密検査の結果、自己マッサージによる片側茎突舌骨筋の
一部筋断裂の存在が明らかになりました。
症状は以下の通りです。
1:喉の横に違和感と痛みがある
2:痛みがあっても声は普通に出る
3:長時間しゃべっていると痛みが増す
4:長時間しゃべっていると嗄声〔かすれ〕となる
5:圧痛〔押すと痛い〕が存在 《リンパ節の腫脹は皆無》
6:咽(むせ)や空咳(からせき)が多くなった
7:高音が出難くなった
8:食べ物を飲み込むときに違和感や痛みがある
9:あくびをすると『ゴリッ』と音がする
筋断裂や神経損傷には十分ご注意ください。
反回神経麻痺を除き、声が出なくなることはありませんが
長期間にわたって(長い場合は生涯)声が出難くなりますよ。
そして、耳鼻咽喉科や整形外科では診断がつきません。
誰もわかってくれないから、本当に困ってしまいます。
そうならないようお気を付けくださいね。
追記1:さらに詳しい状況をお伝えします。この方の側頭骨茎状突起は左右差がありました。筋肉を損傷した側の突起は、反対側に対し長く外側に反りだしていました。つまり、茎状突起尖端から舌骨小角までの Muscle tension が大きくなり、簡単に負荷がかかりやすい形状だったのです。この状況をしっかり見極めたうえでマッサージやストレッチングを行わなければなりません。自己マッサージの指示を受けた場合は、その先生に、注意する場所や強さをしっかり聞いてから行ってください。知らずに行って、不幸を背負うのはあなたですよ。
追記2:ハイ・ラリンクス(高音発声時などに甲状軟骨がグッと上がってしまう状態)を矯正するために、発声しながら無理やり押し下げるのも危険です。無茶なトレーニングの結果、喉頭筋バランスを崩したり筋膜損傷を起こしたりして、苦しんでいるひとを多く知っています。もし、教師やボイストレーナーから Compulsory down を強要される場合は、①医学的根拠、②リスクの承知、③負傷した場合の対処法の3つを聞いたうえ、あなた自身が十分に納得してから行ってください。事故を起こしてからでは遅いのです。もちろん、明るみになる事故の数は少ないでしょう。そう、老婆心かもしれません・・・。しかし、現実に、苦しんでいる方々を見ていると、訴えずにはいられません・・・。
~メッセージ~
この記事は投稿時の情報・見解・施術法であり、最新・正確・最良でない可能性があります。内容に関し一切の責務を負いません。その旨ご承知いただきお読みください。會田の理論と技術は毎日進化しています。
by aida-voice
| 2011-06-19 20:48