歌うって特別なことじゃない!


発声科学的に述べると『会話声の延長上に歌声がある』と言えます。

運動に例えてみましょう。

会話声を歩行と考えれば、歌声はランニング。

歩く動きと走る動きは何が違うのか?

同じ足や同じ関節を使っていることに変わりありません。

走り出したからといって、足の数が増えたり関節の位置が移動したりしませんよね。

そう、動かすスピードが速くなったのです。

声も、これと同様。

会話声の声帯や周辺筋の動きが速くなり、そこにリズムが加われば歌になります。

もっと簡単に言えば、普段のしゃべり声に、息の流れを伴って関連筋を
素早く動かせば、歌になるのです。

たったこれだけ。

今、わたしたちが発している声は、コミュニケーションのメイン手段ですよね。

言語が発達していない大昔、唸りのような声が、感情と共に
息が流れて歌になったのではないかと考えています。

「う、う、う」の短い唸り声が、喜怒哀楽によって
「うぉぉぉ、うぁぁぁ、うぁぁぁ」と長いメロディが付く。

日本では、歌は特別なカテゴリーとして扱われていますが
実際は、もっと簡単なのかも。

「さあ、歌ってください」と勧めると、一世一代の大事のように
『いざ、歌わん!』と身構えるひとがほとんど。

繰り返します。

会話声の延長上に歌声があるのです。


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追記1:上説のことから、歌がうまくなるには、会話の声も質を高めなければなりません。ここが原点です。なお、歌がうまいへたには、インプット音痴とアウトプット音痴も関係してきますから、ご注意くださいね。



追記2:よく「普通にしゃべっているときは輪状甲状筋は使っていない。歌うときだけだよ」とおっしゃる方がいますが、これは間違いですね。輪状甲状筋は歌うときは必須ですが、会話声の中でもピッチ・抑揚・声を張るなどに使っています。むしろ、輪状甲状関節のヒンジ運動とスライド運動の可動範囲から考えれば、会話声のときほど重要な役割を担っているのでは思います。そう、歌わなくたって、高音を出さなくたって輪状甲状筋は鍛えられるのです。




~メッセージ~
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by aida-voice | 2011-06-13 18:04