喉が詰まる症状と呼気圧の関係


これまで、『喉が詰まる』『息がしづらい』『喉が締めつけられる』
『呼吸のとき喉に違和感を抱く』『食べるとき飲み込みにくい』
『過緊張発声障害・機能性発声障害と診断された』などの方々を改善してきました。

何しろ、40年以上前に、当のわたしが苦しんできた
症状でもありますからね。(詳しくは ⇒ 喉が詰まる… 私の症例

さて、このような症状を呈す方々をつぶさに観察しますと
二つの事実がわかってきます。
 
一つは、必ず喉頭が深奥Position化すること。

これも二つのタイプに分別できます。

発声時のみ筋肉がギュッと硬くなって喉頭の動きが止まってしまうタイプと
無声時も発声時も固まっており喉頭が深く存在しているタイプ。

これまで何千人と症例に出くわしましたが、ほとんどは前者のタイプですね。

ただし、それでも無声時の筋硬度は、声に何の問題ないひとに比べ
1.5~3倍は硬くなっています。

これは、初見時の検査で行う筋硬度計によるものです。

二転間の比較をする計測機器です。

喉頭の動きを制しながら圧による咽(むせ)を回避して胸骨舌骨筋を
ねらって計測するため、計測が難しく、やや曖昧と言わざるを得ません。

しかしながら、一つの指標にはなっていますよね。

何度も何度も繰り返し計測技術を身につけることで
より正確な基準が出来上がってきました。

筋硬度計で測ると、声のトラブルを持たないひとは
20トーン以下です。(トーンはこの機器が使用する単位)

したがって、上記症状を呈するひとは30~60トーンとなります。

ちなみに痙攣性発声障害の場合は、5~80トーンで、個人差が激しいのが特徴。

えっ?

そう、5トーンと言ったら、喉が自由に動いて楽なはず。

これは、無声時には何の問題もないのですが、発声したとき
特に初音で痙攣作用によってガチッと固まってしまい
「詰まって声が出ない」「声が震える・割れる」症状が現れるからでしょう。

さらに、過度の精神的ストレスによる失声症の場合は、これまで出会った方々の
ほぼ100%が無声時および発声時に硬くしている後者タイプでした。

計測すると無声時でも50トーンを下回ることはありません。

これが喉頭の深奥Position化。

次に、二つ目の事実です。

それは、呼気圧が小さいことです。

つまり、息が浅いのです。

『喉が詰まる』『息がしづらい』『喉が締めつけられる』
『呼吸のとき喉の中が細く感じる』『食べるとき飲み込みにくい』
『過緊張発声障害・機能性発声障害と診断された』のひとは
漏れなく呼気圧が小さくなっていました。

そう、全員です。

このようになってしまう二つの経緯が予想されます。

一つは、喉が締まることで、やはり物理現象として呼気の流量が
減っていしまい、呼気圧が下がってしまうこと。

つまり、出口が狭くなって、空気が出難くなっているようなものですね。

この状態が長く続けば、呼気圧を上げる感覚も失ってしまい、さらに声が
小さくなって、悪いスパイラルに入り込んでしまいます。

もう一つは、何らかの原因で元々呼気圧が小さいひと。

息が少ないため、声帯をはじいたりベルヌーイ定理が
応用されたりしないため、声を出すことに力みが生じます。

常に力一杯の努力発声をしています。

その結果、喉が絞まったり過緊張性発声になったりします。

当サロンでは、このような症例に対して・・・

①喉頭周辺筋の柔軟性獲得のためのアプローチ
●各種物理療法
●手技(ピンポイントのマイクロ・ストレッチング)
●アタランス・トリートメント
②呼気圧アップのためのアプローチ
●チェアーベッドによる肋椎関節可動域増大テクニック
●プッシュ法による呼気圧増加感得
を行っています。

昔、わたしは「喉が詰まって声が出し難い…」と
両親や医者に伝えても「気のせいだ」「慢性気気管支炎ですね」と
一蹴され、長きに渡って苦しんできました。

そうです、声が出ないのではない、話せない訳ではない。

しかし、思い通りに声が出ない“もどかしさ”に煩悶してしまうのです。

もし、あなたのまわりに、このような症状を訴えるひとがいましたら
どうか理解してあげてください。

そして、何度も聞き返さず、優しく見守ってあげてください。

よろしくお願い申し上げます。




ボイスケアサロン
會田茂樹(あいだしげき)


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追記1:なお、発声に関係する視点での『肺活量が多い』と『呼気圧が高い』は一致するものではありません。肺活量は胸郭内の体積の大きさを、呼気圧は呼吸のコントロール性を、主に論点にしています。以前もお伝えしましたが、女性並みの肺活量でも、呼気圧を高めることで歌う優秀なバリトン歌手もいます。逆に、体格も胸郭も大きく、肺活量は多いと予想されるにもかかわらず、声が小さくて悩んでいらっしゃる女性もいます。つまり、どんなに肺活量が多くても、発声に活かす呼気圧のコントロール性を獲得しなければ、良い声にはならないのですね。






追記2:アタランストリートメントは2種あります。朗読と音楽CDです。この二つの組み合わせで最強のアプローチが可能になり、大きな成果を上げています。そう、あなたの声のためのトレーニングなのです。





~メッセージ~
この記事は投稿時の情報・見解・施術法であり、最新・正確・最良でない可能性があります。内容に関し一切の責務を負いません。その旨ご承知いただきお読みください。會田の理論と技術は毎日進化しています。
by aida-voice | 2011-06-04 10:19