2016年 03月 17日
GID M to F 高音獲得法 【過去記事再掲載】
性同一性障害(GID)の M to F で、手術を希望しない方に朗報です。
高音を獲得するための手術は、輪状甲状関節を屈曲固定術や、前連合からの声帯短縮術があります。
前者は、高音は出るものの、関節の動きを封じ込めるため、歌唱などの際のコントロール性能に欠けてしまいかねません。
後者は、声帯ヒダの瘢痕形成の可能性もあり、かすれ声に悩んでいるひとを多く知っています。
もちろん、即時効果が高く、満足している方々も大勢います。
一方で、手術をせずに高音を獲得したい、音楽性を失いたくない等の理由で当サロンにお越しになる方もいます。
そのような方に効果的な方法が確立しつつあります。
それは、M to F 向けの輪状甲状筋訓練。
ご承知の通り、輪状甲状筋は、声帯をピンと張って高音発声に不可欠の筋肉です。
その筋肉を強化します。
まず、輪状甲状関節の動く環境かどうか調べてください。
内喉頭に関しては、声帯に病気がないことを耳鼻咽喉科で確かめ、外喉頭に関しては、喉頭周辺筋に柔軟性があることを検査して確認します。
もし、それらに問題がある場合は、最初に治したり改善したりしましょう。
問題がなければ、いよいよ開始。
当サロンで行っている〔GID M to F 高音獲得法〕の手順を簡潔に述べます。
喉頭牽引や3MHz超音波照射を敢行しましょう。
これらは輪状甲状関節の動作性をさらに高めます。
そう、この関節がスムーズに動かなければ、美しい高音獲得は絶対に不可能です。
次に、左右二枚ずつある輪状甲状筋の正確な場所を探し出し、喉頭専用低周波(3~120Hzをランダム)を利用して筋トレを行います。
輪状甲状関節が勝手にトントンと動くのを感知できます。
ちょっと刺激的です。
しかし、効果はバツグン。
このアプローチを繰り返すことで、自然で女性らしい高音発声ができるようになってきます。
ここで、『女性らしい声』とは何か?
つまり、音色ですよね。
実は、人間の音色を担う最も重要な部分は共鳴腔です。
声帯も重要ですが、声帯は音の根源を作り上げるだけです。
そして、ピッチは声帯で決まりますが、音色は共鳴腔。
実際、声帯で作られた音には個性はほとんどありません。
これも弦楽器の弦と同じですね。
バイオリンもアコースティックギターも、音の独自性は、弦ではなく胴が担っているのは周知の事実。
さて、人間の共鳴腔は5つあります。
それら共鳴腔の中で、軟部組織の特徴を十分に運用できるのが、咽頭共鳴腔。
この部位の運動性能をアップさせれば、声帯で作られた原音である高音を、やわらかくも細くも演出できます。
したがって、この能力を獲得していただきたいのです。
確かに簡単ではありません。
時間がかかって、途中で断念するひともおります。
しかし、一旦獲得してまえば、生涯、自分の卓越した能力となります。
是非、がんばってください。
一緒に応援します。
追記:美しい高音には四つの条件があると考えます。①輪状甲状筋の活躍、②共鳴腔の活用、③声帯粘膜の湿潤、④呼気圧の統制。これらがすべてそろったとき、他者がうらやむ高音が自然に出てきます。また、歌手の高音発声にも同様のアプローチが有効です。さあ、どんな音色も軽々表現でき、聴くひとを魅了する高音を獲得しましょう。
【喉頭ファイバー写真を模式絵に】
~重要なお知らせ~ ●外喉頭から考究する発声の理論と技術は日々進化しています。この記事は掲載時の情報であり、閲覧時点において最新・正確・最良でない可能性があります。すべての記事の内容に関し、一切の責務を負いません。●記事の内容は万人に適合するものではないため、当サロンの施術に関し、記事の内容通りの効果や結果は保証も確約もしておりません。〔当サロンでは役立てないと判断された場合、理由を問わず施術をお断りします〕●声や喉の不調は、最初に専門医の診察を受けてください。歌唱のトラブルは、最初にボイストレーナー(音楽教師)にご相談ください。
by aida-voice
| 2016-03-17 09:37