2011年 04月 26日
賛否両論 Part8 ダンス
巷で、声に関わる情報を集めてみました。
すると、Aさんの意見とBさんの意見では正反対。
これらを科学的かつ独断的に解説してみたいと思います。
22回に分けて掲載する予定。
さあ、どっちが正しいの?
Part1 うがい
Part2 加湿器
Part3 吸入器
Part4 スポーツ
Part5 飲酒
Part6 セックス
Part7 自転車
Part8 ダンス
Part9 ガム
Part10 たばこ
Part11 飛行機
Part12 船
Part13 タートルネックの服
Part14 ネクタイ
Part15 あくび
Part16 ハミング
Part17 ささやき声
Part18 昼寝
Part19 枕
Part20 ジェットコースター
Part21 カラオケボックス
Part22 ×××
さあ、Part8は、女子には興味津々の“ダンス”。
多くの生徒を教えている声楽教師(ソプラノ歌手)から聞いた話です。
「趣味でフラメンコを習っていたら、声が出難くなってきたの。
そこで、フラダンスに変えたら、声の調子が戻ってきたわ!」
そこで、ダンスって声にどうなの?
また、賛否両論のシリーズにダンスの項目を載せたところ、優秀な
ボイスアドバイザーであるMさん(彼女は機能性発声障害の方々の
相談に乗り、その苦しみから救っている素晴らしい先生)に
「えっ、ダンスを始めようと思っていたのに・・・ダメですか?」と
質問されました。
さっそく、ダンスが声に良いか、良くないかを考察してみましょう。
ダンスは基本的に運動ですから、他のスポーツと同じように考えてみます。
最初に、他のスポーツに無い特徴はあるのでしょうか。
大きく二つありました。
①音楽を伴う点
②リズムが重要な点
実際、これだけでは、声に影響するかどうか判別が難しいですね。
ならば、ここで前出の教師の話から、フラメンコとのフラダンスに
違いはあるかを検証してみます。
決定的な違いがありました。
それは、力をかける方向性です。
フラダンスはゆったり水平方向の動きが多いのに対して
フラメンコは激しいステップによる垂直方向の動きが多くなります。
この垂直方向の力が問題となるのです。
強くステップを踏んだりジャンプしたりすると
喉頭が上下運動するのを確認できました。
これは、甲状軟骨(舌骨)が、茎突咽頭筋と茎突舌骨筋(茎突舌骨靱帯)で
吊り下げられているからです。
そう、喉って、側頭骨の茎状突起(耳孔の真下あたりに存在)から
ぶらぶらぶら下がっているのですよ。
そして、人間の大切な動きの一つとしての反応や反射があります。
筋肉に急激な力が加わると、筋組織の損傷を防ぐために
素早く緊張させる(筋肉を縮める)生理的な防御反応。
これが喉頭周辺筋にも働きます。
したがって、ステップやジャンプをしたとき、喉頭の重みで
下がった瞬間、懸垂機構の筋群がギュッと反射的に縮んでしまいます。
ほんの小さな動きかもしれませんが、これを繰り返していると
徐々に癖づいて、喉頭周辺筋は硬くなるのが容易に予想できますよね。
こうして、歌唱には不適切な喉頭状態になっていくこともあり得るのです。
また、Mさんから、クラシックバレエもジャンプや回転など
縦軸方向の動きも多いと教えていただきました。
そう聞いたとたん、ある事実が思い起こされました。
確か・・・、「過緊張性発声で苦しんでいるひとの中に
バレエをしているひとが結構いたなぁ」と。
フラメンコやバレエを踊ったからと言って、声が悪くなるとは思いませんが
声に影響を受けるひとがいるのも事実なんですね。
これも、やはり賛否両論。
追記:よく「バレエをやっているような体のやわらかいひとは、喉の筋肉もやわらかいのですか?」と訊かれます。本文にもあるように、体のやわらかさと喉のやわらかさが一致するとは言い切れません。実際、バレエを教えているダンサーが過緊張発声で困っているケースを目の当たりにしています。そう、四肢躯体と喉頭はリンクしていません。
~メッセージ~
この記事は投稿時の情報・見解・施術法であり、最新・正確・最良でない可能性があります。内容に関し一切の責務を負いません。その旨ご承知いただきお読みください。會田の理論と技術は毎日進化しています。
by aida-voice
| 2011-04-26 04:27