スリムクラブ 真栄田賢さんの声


2010年M-1グランプリ準優勝のスリムクラブ。

真栄田賢さんと内間政成さんの
独特な芸の雰囲気が人気を博しています。

その真栄田さんの声がかすれていますよね。

ご本人は「声変わりに失敗した」とおっしゃっているそうです。

今回は、声の聞こえと、TVから見える外喉頭の様子(目視)で
彼の喉と声の状況を解説してみましょう。

まず、声から。

かすれています。

このような声の状態を嗄声(させい)と言います。

嗄声の根本は、声帯がキチンと閉じないため
息漏れの音が声に混じっていることによります。

そして、①病的な嗄声、②器質的な嗄声(病気を除く)
③機能的な嗄声の、おおむね3種に大別できます。

個別の詳細をお伝えしましょう。

①声帯結節、ポリープ様声帯、声帯萎縮、声帯溝症、喉頭癌など
病気の罹患によって声帯の閉鎖ができなくなり、呼気が漏れて嗄声になります。
これは有能な耳鼻咽喉科の先生に診てもらいましょう。

②病気ではなく、器質変化によって、恒常的に声帯が閉じない場合があります。
最初は病的であったかもしれませんが、慢性あるいは安定して息漏れに
大きな変化がなくなります。生まれつきのハスキーボイスや
声の出し過ぎで声帯変形(病気を除く)などでしょう。
また、声帯突起より後方が開いているケースが多いように感じます。

③緊張し過ぎたり、ストレスを受け過ぎたりして
甲状軟骨が深奥Positionに移行し、披裂軟骨の回転力が強くなって
声帯が開きやすくなることがあります。
これが機能的な嗄声に属します。

真栄田さんは②+③でしょうか。

この3種は、慣れてくると声を聞き、発声時の喉の動き具合を見ただけで
どれに属すか判断できるようになります。

TV画面を通して真栄田さんの喉頭を観察すると
甲状軟骨の大きさがあるにもかかわらず
喉頭隆起(のどぼとけ)が大きくは見えません。

これは、甲状軟骨が深奥Positionであろうと推察されます。

彼の言うように「声変わりに失敗した」、つまり、変声障害であったならば
34歳の彼の声帯は現状で安定しているはず。

これは②ですね。

そして、声の出難い声帯を長年にわたって使用していると
『がんばって声を出す』こととなり、喉頭周辺筋の硬化現象や
過緊張性発声(障害を除く)になります。

そう、これが③ですね。

したがって、②の後に③が融合したタイプと考えられます。

固着した声帯変形を改善するのは難しいのですが
機能的な問題は解決できる可能性はあります。

真栄田さんの喉頭を適切な手技で前方移動して発声すれば
滑らかな美声が出るはず。

それも、一瞬で!

声が良い理由は、外見上の甲状軟骨に大きさがあるため、アップライトピアノでなく
グランドピアノの良音と同じ理屈。

さらに、喉頭周辺筋弛緩と、その最適Positionでの発声感覚を獲得すれば
ある程度、恒久的に声が良くなるでしょう。

しかし・・・

きっと、真栄田さんの声が良くなってしまうと、芸風が変わってしまうので
ご本人は望んでいないでしょうね(微笑)







追記:上記はあくまで私論です。真栄田さんの声を批評したり実際に検査したりしたものではありません。彼の存在は「エンタの神様」から知っていました。わたしは、快物フランチェンが大好きでした。「目覚めよ、フランチェン」「思考停止、パニッパニ、パニッパニ、・・・」(大笑)





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~メッセージ~
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by aida-voice | 2011-04-07 14:45