書籍「喉体操」9


3喉周辺筋ストレッチング(おもに咽頭収縮筋や輪状咽頭筋)

ストレッチングの最後は喉頭の周辺筋群です。
おもに咽頭収縮筋や輪状咽頭筋で、発声より呼吸や嚥下・摂食のためにあります。
しかし、これらの筋肉が恒常的に硬くなると、喉頭の自由な運動性を制限し、声に影響する可能性があります。
実際、これらの筋肉が硬いひとに、喉頭クリニカルマッサージをふくむ適切な施術をおこなって柔軟性を獲得すると、声が出しやすくなったり、思いどおりの声が出せるようになったりしています。
方法です。
親指を立てたまま甲状軟骨翼に、そっとあてます。
押さえている側に、顔を向けていきます。
親指は動かないよう、その位置をキープしてください。
押さえつけすぎると、筋肉を痛めたり、むせたりしますので十分注意してください。
喉の奥の筋肉が、ギューンと伸びていくのを感じながら、ゆっくりおこないましょう。
これも左右二十秒ずつです。
穏やかな呼吸も大切です。
そして、戻すときも、できるだけゆっくりおこなってください。
ポイントは、親指をまっすぐに立てて、指全体が皮膚にふれるようにすることです。
そして、あごの先端を、前に突きだしてみたり角度を変えてみたりして、筋肉が伸ばされる感覚を得る最適なポジションを探しましょう。
また、親指と人さし指ではさんではいけません。

これまで大勢の方々に試していただきましたが、正確かつ継続して実行すれば、かなり効果が期待できます。
そして、すべてに共通する大事な注意事項です。
喉の筋肉や軟部組織は繊細ゆえ、ほんの小さな外力で傷つけてしまうケースがあります。
肉ばなれ、筋膜断裂、反回神経麻痺、甲状軟骨骨折、輪状甲状関節脱臼など、重篤な症状になってしまいます。
最悪、正常な声を失います。
また、頚動脈洞の圧迫により、血管神経性反射を起こし、失神します。
さらに、甲状腺疾患に罹患しているひとが無理におこなうと、ホルモンバランスの急激な変動や、上喉頭神経外枝への影響により、声がかすれたり、高音が出にくくなったりするケースもあります。
正確におこなえば安全かつ有効ですが、力加減を見きわめながら、十分気をつけて実行してください。




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~メッセージ~
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by aida-voice | 2011-03-10 05:07