2011年 03月 06日
Small Voice View 4
ときどき、ごくありふれた声のトピックや、喉の四方山話(よもやまばなし)を掲載します。
できるだけ平易な言葉かつ短い文章で書きます。
また、わたしの思い、イメージ、検証されていない経験則などの話題も増えるでしょう。
したがって、ボイスアドバイザーや喉頭科学に詳しいひとは飛ばしても構いません。
名づけて「Small Voice View」(スモール ボイス ビュー)。
Viewは、景色・眺め、見解・考え方の意味です。
この記事によって、ちっちゃな発見があることをお祈りします。
第4回は『声の流れ』を載せましょう。
声って、どのように作られるのか?
簡単に簡単に解説。
最初に知っていただきたいのは、声は「音」であるという事実です。
当たり前ですよね。
皆さんの耳に聞こえる音とは「空気の振動」です。
わかりやすく述べると、空気がギュッと凝縮されて密度が高くなるときと、空気が薄くなって密度が低くなるときとの連続が振動として示されます。
蛇足ですが、1秒間に440回の振動が音階〔ドレミ〕のラ音です。
その音を作ることを「発声」と称します。
さあ、それでは声の流れを見ていきましょう。
声の根本は息です。
これは、呼吸の呼気〔吐く息〕を使用します。
肺の中に入った空気を利用して声帯(せいたい)を弾きます。
声帯は2枚の軟部組織(なんぶそしき)〔粘膜(ねんまく)と筋肉(きんにく)〕から構成され、声帯自身は動きが少なく、周囲の筋肉によって動かされています。
なお、呼吸には横隔膜(おうかくまく)や内・外肋間筋(ろっかんきん)が活躍します。
ここで、声帯を通過する際に大切な事項がもう一つ。
ベルヌーイの定理。
声帯は薄いため、空気が通過すると2枚の声帯が寄って来ることです。
これも歌唱には大切なこと。
さて、声帯を動かすには、披裂軟骨(ひれつなんこつ)に付着した後輪状披裂筋(こうりんじょうひれつきん)、外側輪状披裂筋(がいそくりんじょうひれつきん)、斜披裂筋(しゃひれつきん)、横披裂筋(おうひれつきん)、甲状披裂筋(こうじょうひれつきん)、そして高音発声に欠かせない輪状甲状筋(りんじょうこうじょうきん)が必要です。
その他にも、甲状軟骨(こうじょうなんこつ)や舌骨(ぜっこつ)に付着する筋肉も作用しています。
このように、声帯は自分自身で自由に開閉したり伸縮したりするのではなく、周辺の筋肉によって動かされているのです。
次に、声帯で作られた音は、そのままでは良い声にはなりません。
これは喉頭原音(こうとうげんおん)と言って、ギターで例えるなら弦を胴〔ボディ〕から外して爪弾いているようなもの。
美しい音色でないことは想像できるはず。
そして、この喉頭原音を加工するのが共鳴腔です。
ギターならサウンドホール〔丸い穴〕のある胴の部分に該当します。
人間の主な共鳴腔は5つあり、声帯に近い順から、喉頭室(こうとうしつ)、梨状陥凹(りじょうかんおう)、咽頭共鳴腔(いんとうきょうめいくう)、口腔共鳴腔(こうくうきょうめいくう)、鼻腔共鳴腔(びくうきょうめいくう)です。
この中で、声の響きや音色に最も影響を与えるのが咽頭共鳴腔です。
これは、舌骨の付け根の奥にあります。
外から見て、この部分が自在に動いているひとほど声が良かったり歌がうまかったりするのです。
そして、咽頭共鳴腔で作られた音声は、口腔や鼻腔で言葉の要素を付け加えられます。
これを構音(こうおん)と言います。
当然ですが、舌の関与も重要。
最後に、歯や唇(くちびる)で最終調整されて、声として外に出てきます。
これが、簡単な声の流れ。
実際は、もっと複雑です。
驚くほど。
それゆえ、ひとそれぞれ声が違ってくるのです。
声って不思議。
わたしの最も好きな音・・・、それが声。
~メッセージ~
この記事は投稿時の情報・見解・施術法であり、最新・正確・最良でない可能性があります。内容に関し一切の責務を負いません。その旨ご承知いただきお読みください。會田の理論と技術は毎日進化しています。
by aida-voice
| 2011-03-06 15:15