2011年 03月 05日
書籍「喉体操」6
第4章 ボイストレーニングを受ける前にやっておきたい理由
ボイストレーナーや音楽教師は、歌い方を教えています。
本書は、歌い方の伝授でなく、その基礎となる、発声能力を高めるのが目的です。
また、発声能力が高くなることと、歌がうまくなることは意味合いが異なります。
歌にはリズムやピッチのテクニックがいります。
そのテクニックが未熟なひとは、すばらしい発声能力を獲得したとしても、歌がうまいとは言えません。
発声能力が向上すると、歌唱テクニックを習得しやすくなります。
そう、発声能力を上げてから歌唱テクニックを学べば、誰もが驚くほどグングン上達するでしょう。
逆に、発声能力がないまま歌唱テクニックを磨いても、時間がかかったり、まったくできなかったりします。
最高の喉状態に、歌唱テクニックと歌心がのったとき、ひとを魅了する極上の歌が完成するのです。
したがって、最初に発声能力を高めることをおすすめします。
これも楽器やスポーツと同じように考えられます。
あなたは楽器演奏者としましょう。
そこでおたずねします。
整備されていない、あるいは、調律されていない楽器で演奏したいと思いますか。
違いますよね。
楽器演奏者は、少しでも程度の良い名器を求めます。
バイオリンならストラディバリウス、ギターならアントニオ・デ・トーレス、ピアノならスタインウェイ、ベーゼンドルファー、ベヒシュタインの三大名器でしょうか。
けれども、不具合があれば、せっかくの名器も意味がありませんし、演奏テクニックも活かせません。
まずは、楽器の状態を正しく整備することです。
次に、スポーツです。
あなたは野球選手としましょう。
基礎体力のまったくない身体で、プレーしたいと思いますか。
膝がガクガクして走れない、ボールをうまく投げる力がない、手首が硬くてバットを正しく振れない。
このような状態のまま、野球技術だけの練習をしていても、決して上達はしませんよね。
まずは、身体の具合を修正して、基礎体力をつけることです。
実際、なんでもかんでもテクニックさえ身につければ、極上の歌が歌えると勘違いしているひとが多いのに、驚きを禁じえません。
ただし、歌は音楽性や好き嫌いなどの受容範囲が広いため、いちがいには上手下手や良い悪いなどの基準がない旨を付記しておきます。
ここでは、より多くの一般的な聴衆の心に響く歌声に限定しています。
~メッセージ~
この記事は投稿時の情報・見解・施術法であり、最新・正確・最良でない可能性があります。内容に関し一切の責務を負いません。その旨ご承知いただきお読みください。會田の理論と技術は毎日進化しています。
by aida-voice
| 2011-03-05 17:23