声に良い(悪い)飲み物ってあるの? お茶と声


カラオケでウーロン茶やお茶を飲むひとも多いと思います。
数人から意見を聞いてみました。
「あなたは、お茶を飲んで歌い難くなることはありませんか?」
回答は「別に問題ないけど・・・」「気にしたことないな」「お茶を飲むといつも喉が渇く」「口の中が重くなって歌い辛くなるわ」など、賛否としては半々。
それでは発声科学的にはどうでしょう。
今日は『お茶と声』についてお伝えします。
まず、お茶ですが、コーヒーと共に世界中で愛飲されてるポピュラーな飲み物の一つです。
種類は日本茶、紅茶、中国茶(ウーロン茶)など。
実は、すべて同じ種のお茶の木だそうです。
製造過程の発酵の分類で変わってきます。
さて、含まれる成分で最も有名なものがタンニン。
ワインに入っているのでも周知の事実。
そして次なるキーワードが、プリフェノールとカテキン。
簡単にこれらの関係を述べると、植物に含まれる苦味の成分であるポリフェノールの中で特定の構成をなすものがタンニン、タンニンの中で特定の構成をなすものがカテキンなのです。
健康茶カテキンの名前をよく耳にしますが、結局、渋みの成分なのです。
さて、次からが大事。
お茶に含まれるカテキン(タンニンやポリフェノール)は舌や口腔および咽頭粘膜のタンパク質と結合して収れん作用を引き起こします。
収れん作用とは、タンパク質の変性によって当該組織や毛細血管が縮んでしまうことです。
この収れん作用によって舌で渋味を感じるのだと言われています。
したがって、渋みは味覚と言うより、機序結果による疼痛的感覚なのかもしれません。
そして、実は・・・、タンニンによる収れん作用は【粘膜からの各分泌を抑える働きがある】ことが報告されているのです!
「えっ!!!」
そう、かなりの驚きですよね。
賢明な読者ならおわかりでしょう。
声帯は濡れていないとうまく振動しません。
その濡らす本態が分泌液や漿液(しょうえき)。
口腔や咽頭の粘膜からの分泌液が減れば声帯は乾いてしまい、声に悪影響を与えてしまう・・・
そう、「喉が渇く」「口の中が重くなる」可能性は否定できないのです。
加えて乾燥により、ビブラートがやりにくく感じたり、かすれ声を生じやすくなったりします。
もちろん全員に感じることではありませんから、気にならないなら問題ありません。
美味しいお茶を楽しんでください。
お茶の成分の中にはリラックスさせる効果もあります。
喉頭周辺や気持ちが落ち着き、歌唱には好都合ですよね。
わたしもお茶は大好きです。
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最後に、歌唱前や途中でお茶を飲むなら、以下の三つに気をつけると良いでしょう。
①濃いお茶より、薄いお茶を選ぶこと
②熱いお茶は、熱によって乾燥を促進する可能性が高くなるので避けること
③水(常温の天然水)を併飲すること



ボイスケアサロン
會田茂樹(あいだしげき)




追記:お茶には殺菌効果も期待できます。風邪予防に『お茶でうがい』と言う手もGOODですね。お茶の効用って本当にスゴイですね。




~メッセージ~
この記事は投稿時の情報・見解・施術法であり、最新・正確・最良でない可能性があります。内容に関し一切の責務を負いません。その旨ご承知いただきお読みください。會田の理論と技術は毎日進化しています。
by aida-voice | 2011-01-30 04:04