タントリル詳解【過去記事再掲載】


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ボイストレーニングで頻繁に行われているタントリル。
「わたしはできる」「ぼくは上手にできない」と声が聞こえてきます。
数名のボイストレーナーに、実際に目の前で行っていただいたところ、方式がそれぞれ異なっていたのです!
あなたは、タントリルをするとき、どこをどう使って行っているか知っていますか?
触診、筋硬度、画像解析で、おおむねわかってきました。
まず、何よりも舌の構造を検証しましょう。
ここで質問です。
舌根の位置を指し示してください。
優秀なあなたならご存知だと思いますが、舌内筋は骨に付着しています。
そう、ほぼ浮いているのです。
舌の土台が舌骨。
多くのひとは、舌の奥の方を付け根だと思っていますが、舌根は下顎骨内側のオトガイ棘(おとがいきょく)にあります。


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答えは、拡大図の青の部分。
この青い部分から始まり、くるっと巻いた状態で空中に浮いています。
それを舌骨が支える構造。
そう。ここが言葉の意味上の舌根です。
多くのひとが付け根と感じている奥の方は『舌奥部』ですね・・・
次に、ちょっと難しくなりますが、舌筋は舌内筋と舌外筋の2種類があります。
舌内筋は、舌そのもののことで、上縦舌筋・下縦舌筋・横舌筋・垂直舌筋があり、舌の形を変える筋肉。
舌外筋には舌骨舌筋・茎突舌筋・オトガイ舌筋・口蓋舌筋があり、舌の位置を変える筋肉。
なお、舌外筋は舌骨上筋群と言い換えてもOKですね。
口蓋舌筋以外は、すべて舌下神経に支配されています。
以前、滑舌や吃音に関し、舌下神経活性化の重要性を述べたのは、これらのことからです。
さて、ここからがさらに重要。
タントリルを詳しく観察すると、二通りのやり方があったのです。
①舌内筋および舌外筋がやわらかく動いている。なめらかで自然な音。
②舌内筋の柔軟性は確認できるが、舌外筋を突っ張って固めて完成させている。ぎこちなく不自然な音になっている。
③舌内筋および舌外筋が硬く、うまく振動していない。あるいは短時間でできなくなる。舌震でなく声帯と呼気を利用している。
そう、①と②はタントリルができるひとで、③はできていないひと。
さらに、①は上手なひとで、②はちょっと・・・のひと。
例えるなら、腕をピンと伸ばし、手をゆらゆら揺らすとしましょう。
①は腕全体をしなやかに揺らしているのに対し、②は肩と上腕と肘を固めて手首で無理やり揺らしている感じでしょうか。
ここではタントリルの「やり方」を解説したのではなく「メカニズム」をお伝えしたのです。
あなたに合った「やり方」は、信頼おけるボイストレーナーから習ってください。
結論から言うと、タントリルは、舌内筋と舌外筋(舌骨上筋群)の柔軟性を獲得するのを目的としていたのですね。
しかしながら、正しい「やり方」を習得しないと、舌や喉の周囲に力が入ってしまい、逆に発声や歌をへたにすることもありますのでご注意ください。


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追記:ときどきオトガイ舌筋の筋力に左右差があるひとを見かけます。このケースは舌の引っ張り込む動きの左右差を生みます。その結果、舌の先端が中心でなくなります。ほんの数ミリ程度ゆえ、会話声程度なら問題ないと考えますが、繊細な歌となると、最終構音の一端を担う舌を100%使いきれない可能性が大きくなります。的確なアプローチで筋力を整えることはできますので、やはり改善が望ましいでしょう。


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真上から見た舌の絵:緑線がオトガイ舌筋、aがシンメトリーでbは左右の筋力が異なり強い側に曲がった状態(なお、これらは筋肉の癖であり、舌下神経麻痺を除き、決して病気ではありません)







~重要なお知らせ~ ●外喉頭から考究する発声の理論と技術は日々進化しています。この記事は掲載時の情報であり、閲覧時点において最新・正確・最良でない可能性があります。すべての記事の内容に関し、一切の責務を負いません。●記事の内容は万人に適合するものではないため、当サロンの施術に関し、記事の内容通りの効果や結果は保証も確約もしておりません。〔当サロンでは役立てないと判断された場合、理由を問わず施術をお断りします〕●声や喉の不調は、最初に専門医の診察を受けてください。歌唱のトラブルは、最初にボイストレーナー(音楽教師)にご相談ください。





by aida-voice | 2016-02-27 13:23