喉に導かれ、歌え


以前、著名なバイオリニストに聞いた話です。
「最高の演奏のとき・・・、楽器を弾こうとするのでなく、楽器に導かれるのです」
なんと深いお話でしょう。
そうです。
歌も同じです。
最高の歌唱のときは、喉から勝手に息が流れ出て、それが聞くひとの魂を揺さぶる歌になっているのです。
歌っている感覚さえなくなります。
それをかなえるには二つの条件があります。

①楽器 = 喉の形状や大きさが良いこと
喉の形が良い・・・、特徴を列記しましょう
ⅰ何よりも、まず甲状軟骨そのもが大きいこと (アップライトのピアノより、グランドピアノの音質がより良くなることと同じ原理)

≪正面から見た甲状軟骨の画≫
喉に導かれ、歌え_e0146240_9114068.jpg

ⅱ甲状軟骨板の角度が、高音を求めるなら広角 (鈍角)、低音を求めるなら鋭角がGOOD [青曲線]
ⅲ甲状軟骨の外縁より舌骨の方が大きいこと (より前方に存在すること) [橙矢印]
ⅳ舌骨の形状はV字型が好ましい [ピンク直線]

≪真上から見た甲状軟骨の画≫
喉に導かれ、歌え_e0146240_9203327.jpg


②楽器 = 喉がキチンと整備されていること
ⅰ喉頭周辺筋(とくに咽頭収縮筋と茎突咽頭筋)に十分な柔軟性があること [青枠内]
ⅱ舌骨上筋群がやわらかいこと [緑枠内]

≪左斜から見た外喉頭筋の画≫
喉に導かれ、歌え_e0146240_9283824.jpg

ⅲ輪状甲状関節が動くこと [紫円]
ⅳ輪状甲状筋が発達していること [緑枠内]

≪喉頭模型正面≫
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さあ、あなたも喉に導かれ、思い通りの素晴らしい歌を披露してください



ボイスケアサロン
會田茂樹(あいだしげき)




追記:楽器が良いと、演奏技術も向上します。弾きやすい、扱いやすいは、絶対に必要です。整備不良の楽器を使ったことがありますか。気がかりで、集中した演奏が不可能になり、心にしみこむ音楽になりません。喉も同じ。未ケアの状態では、どんなに練習しても、歌のテクニックは身につきません。実際、自分の喉が整備不良かどうかもわかっていないひとばかりです。もちろん、ごくまれに、何もしなくても上記の条件を完璧に持ち合わせた人物を見受けます。甲状軟骨が大きく、形も最高。喉頭周辺の筋肉は柔軟性があり、輪状甲状筋も立派に動いているのです。生まれつきでしょうね。そのようなひとは、やはり、歌がめちゃくちゃ上手い。そして、自分の喉が素晴らしいことに気づいていません。自覚なしに、勝手に良い声が出て、歌がうまいから。そう、喉が極上のひとは、それでいいのです。さて、あなたの喉はどっち?



~メッセージ~
この記事は投稿時の情報・見解・施術法であり、最新・正確・最良でない可能性があります。内容に関し一切の責務を負いません。その旨ご承知いただきお読みください。會田の理論と技術は毎日進化しています。
by aida-voice | 2010-01-21 05:26